04
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主の部屋には資材の小山がいくつかありました。

……やはり受け入れられない刀もいたのですね。




「あぁ、太郎。貴方まで来たのですね…」

「…申し訳ございません」

先ほど、次郎が部屋に帰って来たのです。
きっと主と話して来たのでしょう。

珍しく酒に手を伸ばさずに寝所に向かいました。

「お入り。廊下は冷えるから」

「失礼します」



「見て。…私の死出の旅路に付き合いたい物好きがこんなにいたわ。困ったものね…」



主の枕元にどこかで見た櫛が置いてありました。

そういえば、ここに来る途中、三日月殿に会いましたね。

"あやつらは行ったか…"とは、こういうことだったのでしょうか。
あやつらの"ら"は一体何人を指していたのでしょうね…。














「それで、太郎のお話は何でしょう」



久しく振りに顔を合わせた気がします。
向き合うというのはこれほど緊張感のあるものなのですね。

私はただ、主に近づいてその手を取った。

あぁ、人の手と言うのはこれほど細いのですね。

主の手を、手折ってしまわぬよう包みました。


私はこの手に命を預けることが幸せだった。






「主、私は貴女以外を主に迎えることは出来ないようです…」





((貴女だけが、私の主なのですから))
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主を先に失う刀の悲しみをご理解ください。
…もし許されるのなら。
主が天上へと還る際、私の心もお連れ下さい。


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