![]() == == == == == 主の部屋には資材の小山がいくつかありました。 ……やはり受け入れられない刀もいたのですね。 「あぁ、太郎。貴方まで来たのですね…」 「…申し訳ございません」 先ほど、次郎が部屋に帰って来たのです。 きっと主と話して来たのでしょう。 珍しく酒に手を伸ばさずに寝所に向かいました。 「お入り。廊下は冷えるから」 「失礼します」 「見て。…私の死出の旅路に付き合いたい物好きがこんなにいたわ。困ったものね…」 主の枕元にどこかで見た櫛が置いてありました。 そういえば、ここに来る途中、三日月殿に会いましたね。 "あやつらは行ったか…"とは、こういうことだったのでしょうか。 あやつらの"ら"は一体何人を指していたのでしょうね…。 「それで、太郎のお話は何でしょう」 久しく振りに顔を合わせた気がします。 向き合うというのはこれほど緊張感のあるものなのですね。 私はただ、主に近づいてその手を取った。 あぁ、人の手と言うのはこれほど細いのですね。 主の手を、手折ってしまわぬよう包みました。 私はこの手に命を預けることが幸せだった。 「主、私は貴女以外を主に迎えることは出来ないようです…」 ((貴女だけが、私の主なのですから)) == == == == == == == == == == 主を先に失う刀の悲しみをご理解ください。 …もし許されるのなら。 主が天上へと還る際、私の心もお連れ下さい。 ← | |