04
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そして約束通り、主は僕と散歩に出た。
最早歩くことさえ楽ではない体に鞭を打って。




その日、僕はこれまでの刀生で一番幸せな時間を過ごした。

隣には主がいて、回りには誰もいない。

僕だけが、主の時間をもらった。




それから本丸に帰り、2人で少しだけ酒を飲んだ。

勢いで口付けをしてしまうほど、その時の僕はとても気分がよかった。















そして僕は夢は必ず覚める目のだと知った。





短刀たちの悲鳴と泣き声で目を覚ました。

中庭を覗けば池の回りに皆が集まっていた。

そこで、地面に横たわる影に気付いた。


僕は側に駆け寄ろうとして止めた。

小夜や兄様が青い顔であの人の下へ急いでいる。
それでも僕はその場に…いや、部屋に引き返した。









真っ暗な部屋の片隅。


僕は主が死んだ絶望の際で、最期を自分にくれた喜びに涙を流した。





((それは永遠の時より尊く思えた))
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貴女は僕に貴女自身はくれなかった。
でも、ただ1度、1人だけが得られるものをくれた。
あぁ、貴女が居なくなったこの本丸はどうなるのでしょう。
……いえ、そんなことはもうどうでもいいことです。
貴女は私とは行けないとおっしゃった。
だから、私が貴女の側に行くことはきっと許してくださるのでしょう


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