被造物
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彼女――叶華と初めて会ったのは随分昔。

ぼくがまだまだ子供だった時。






その時のぼくは、とても空腹だった。

叶華を見つけたのは公園で、彼女は1人だった。

喰べよう、そう思って近付いた。



でも、ぼくは喰べなかった。
怖くて喰べられなかった。



本当に美しいものを前にすると恐怖を感じるのだと知った。

人間は不完全な被造物だ。

だからそこから生まれる子もまた、完全ではない。

それなのに、叶華は完全なものに見えた。

その日から、ぼくは"綺麗なもの"が好きになった。
そして、寝ても覚めても脳裏に叶華がいた。





あの時のぼくは叶華に声をかけることすら出来なくて、逃げるようにその場を去った。


今と同じように、手が届く距離にいたのに、伸ばすことすらできなかった。




((限りなく完全に近く))
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その後、ぼくは叶華を求めて公園に通った。
叶華は毎週月曜日にそこへ来た。
だから僕にとって月曜日は特別な日になった。


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