![]() == == == == == 彼女――叶華と初めて会ったのは随分昔。 ぼくがまだまだ子供だった時。 その時のぼくは、とても空腹だった。 叶華を見つけたのは公園で、彼女は1人だった。 喰べよう、そう思って近付いた。 でも、ぼくは喰べなかった。 怖くて喰べられなかった。 本当に美しいものを前にすると恐怖を感じるのだと知った。 人間は不完全な被造物だ。 だからそこから生まれる子もまた、完全ではない。 それなのに、叶華は完全なものに見えた。 その日から、ぼくは"綺麗なもの"が好きになった。 そして、寝ても覚めても脳裏に叶華がいた。 あの時のぼくは叶華に声をかけることすら出来なくて、逃げるようにその場を去った。 今と同じように、手が届く距離にいたのに、伸ばすことすらできなかった。 ((限りなく完全に近く)) == == == == == == == == == == その後、ぼくは叶華を求めて公園に通った。 叶華は毎週月曜日にそこへ来た。 だから僕にとって月曜日は特別な日になった。 ← | → |