 X +3== == == == == 「で、なんでウーさんはそんなにへこんでんのさ」 イトリは血酒を注ぎながら尋ねた。 当のウタは珍しく落ち込んでいるようで、カウンターに力なく突っ伏している。 「ほれほれ、今日はタダにしといてあげるからさ」 さっさと吐いちまいな、とグラスを渡す。 ウタはそれを一口飲んで、大きなため息を溢した。 「………――叶華に断られた……」 ふと溢された言葉にイトリは動きを止めた。 「断られたって何を？」 もしかして付き合って数日足らずで迫ったのだろうかとも考えたが、どうやら違うようである。 「……店に来るの」 イトリは口を開けて固まった。 「(え、それだけ？それでその落ち込み様？)」 純かよっ、と内心つっこんだ。 「いいじゃんかそれくらい。 ここ最近ずっと会ってたんしょ？」 報告のようなのろけ話を飽きるくらい聞かされた。 「別に1日くらいいいじゃんか」 まるで他人事なイトリにはその程度にしか思えない。 「……もしかしたら急に連絡が取れなくなったり…」 思わずこいつめんどくせー、と思ってしまったイトリ。 「まぁまぁ、どーせ明日はデートなんでしょ？ そこでパーっとやっちゃえばいいじゃない」 そう言いながら血酒のおかわりを注ぐ。 さっさと酔い潰そうと思ったのだ。 と、そこまで考えてウタを酔い潰すのに一体どれだけの血酒が必要なのだろうかと今さら思い至った。 ((本日の共有時間：0時間)) == == == == == == == == == == 「で、なんで断られちゃったわけ？」 「…友達と……」 「友達と？」 「買い物に行くって……。 ……ぼくはその友達以下の価値しかないだ………」 「(あぁ、それで……)」 「友達以下か………」 ← | → |