![]() == == == == == あぁ、愛しい空良。 どうして貴女はそんなにも赤に惹かれるのですか? 貴女が私に誘惑の言葉を1つでも掛けてくれるのなら、戦の最中であっても私の心は容易く揺れ動くのに。 それなのに、きっと貴女は私の存在なんて無視して血にみとれているのでしょうね。 あぁ、なんと酷い人か……。 私はこんなにも貴女を想っているのに。 私は人殺しが好きです。 でも血は嫌いです。 貴女を惑わすから嫌いです。 私は血に魅入られている貴女を見たいわけではないのです。 私は貴女に私を見てほしいのですよ。 だからほら、毎夜、どれだけ遅くなっても湯浴みは欠かしていないでしょう? 私は目的のための努力は惜しまないんですよ。 そのために信長公にも戦には出さないようにお願いしました。 戦場を駆ける貴女も好きですが、怪我をされては堪りません。 さて、どうしたら貴女は私を見てくれるんでしょうね。 あぁ、私が……私自身が血塗れになればいいのでしょうか。 貴女の目の前で、腹を刺せばいいのでしょうか?それとも首を切った方がいいのでしょうか? でもいけませんね。 それでは貴女を愛でることができない。 折角貴女の視界を独占できるのに…。 はぁ、仕方ありませんね。 良い案が思い浮かぶまでは寝顔で我慢するとしましょう。 ((こんなにも難しいのですね…)) == == == == == == == == == == 「――ということでして……帰蝶?どうかしましたか?」 「光秀…あなたね………」 「うげぇ…やっぱり変態だ……」 「色恋も知らぬ糞餓鬼は黙っていなさい」 「な、なにぃ!?蘭丸だってなぁ!」 「おや、何です。食べてしまいたいと思える相手でもいましたか」 「い、いるに決まってるだろっ」 「蘭丸君、騙されちゃ駄目。それは光秀くらいよ」 ← | → |