![]() == == == == == この国は弱肉強食。 その中で私が生き残っていられるのは、実力主義を謳う皇帝陛下と、諦めず厳しい教育を施してくれた両親のおかげ。 「誕生日おめでとう」 外交のための移動中、ソラは嬉しいサプライズを受けた。 目の前には誕生日ケーキたち。 甘いものが大好きなソラには堪らない。 「〜〜!」 主であるシュナイゼルの前だということも忘れかけている。 「本当はもっと盛大に祝ってあげたかったんだが…」 生憎仕事なのだ。 去年も、こうしてささやかながら誕生日を祝った。 シュナイゼルとしては2人だけで祝う誕生日も悪くなかった。 ソラはブンブンと首を振る。 懐から小型端末を取り出し、文字を打ち込む。 『嬉しいです!』 「それは良かった。 …ソラのために用意したんだ、好きなだけ食べるといい」 『仕事中で…』 がっかりした表情で端末の画面を見せてくる。 「ふふ、……ソラは本当に分かりやすい。 仕事中でも構わないよ。 食べたいって顔に書いてある」 すると慌てて表情を引き締めるソラ。 「私しかいないから、気にする必要はない」 手を引かれ、ふかふかのソファーに座らされる。 目の前に広がるケーキたちに夢中だ。 「何なら私が食べさせてあげようか?」 == == == == == == == == == == 「〜〜」 「幸せそうに食べるね」 『美味しいです!』 「それは良かった、用意した甲斐があった」 『ありがとうございます、殿下』 「いつも支えてもらっているからね、お礼を言うのは私の方だよ」 『私幸せです』 「ケーキが食べられて?」 『殿下に会って、殿下の下で働けて』 「私もソラに出会えてよかったよ」 ← | → |