好きなものは好きなんです
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この国は弱肉強食。


その中で私が生き残っていられるのは、実力主義を謳う皇帝陛下と、諦めず厳しい教育を施してくれた両親のおかげ。







「誕生日おめでとう」



外交のための移動中、ソラは嬉しいサプライズを受けた。

目の前には誕生日ケーキたち。
甘いものが大好きなソラには堪らない。

「〜〜!」

主であるシュナイゼルの前だということも忘れかけている。


「本当はもっと盛大に祝ってあげたかったんだが…」

生憎仕事なのだ。

去年も、こうしてささやかながら誕生日を祝った。
シュナイゼルとしては2人だけで祝う誕生日も悪くなかった。

ソラはブンブンと首を振る。

懐から小型端末を取り出し、文字を打ち込む。

『嬉しいです!』


「それは良かった。
…ソラのために用意したんだ、好きなだけ食べるといい」

『仕事中で…』

がっかりした表情で端末の画面を見せてくる。





「ふふ、……ソラは本当に分かりやすい。

仕事中でも構わないよ。
食べたいって顔に書いてある」





すると慌てて表情を引き締めるソラ。

「私しかいないから、気にする必要はない」

手を引かれ、ふかふかのソファーに座らされる。
目の前に広がるケーキたちに夢中だ。



「何なら私が食べさせてあげようか?」


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「〜〜」
「幸せそうに食べるね」
『美味しいです!』
「それは良かった、用意した甲斐があった」
『ありがとうございます、殿下』
「いつも支えてもらっているからね、お礼を言うのは私の方だよ」
『私幸せです』
「ケーキが食べられて?」
『殿下に会って、殿下の下で働けて』
「私もソラに出会えてよかったよ」


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