反応を確かめる == == == == == "うん"なら頷く、"ううん"なら首を振る。 それ以外の答えの時は、手のひらに指で書く。 それが2人の取り決め。 「…ソラ、お腹空いてない?」 首は横に振られる。 しかし、ウタはパンを持ってきた。 「嘘……じゃないだろうけど、分からないなら分からないって言って。もう1日食べてないでしょ」 ソラがそういったことに鈍いのはもう理解している。 「口開けて…」 小さく開かれる口。 そこにパンを小さくちぎって詰める。 雛鳥に餌を与えている気分だ。 こうしないとパンを持って動かないので手ずから食べさせている。 「…ソラが今までどうやって生きてきたか想像できないよ」 だからこそ面白い。 興味を引かれる。 喋らず、欲しがらず、生きたがらない。 誰かに生かされないと死んでいるような存在。 ウタは狩ってきた人間の腕を机に置く。 舌の上では眼球が転がっている。 ソラは椅子に座ったままで欠片も動じない。 骨の折れる音、肉の裂かれる音、血が滴る音。 「ソラも喰べてみる?」 ちぎった指を差し出してみるが首を振られた。 無機質な瞳には嫌悪感の欠片もない。 「ふ〜ん…残念……」 ソラの反応は良く言えば興味深い。 反対に、つまらないとも感じる。 == == == == == == == == == == 「ソラって怖いものあるの?」 『かみなり』 「嘘」 『ごきぶり』 「あー…女の子は嫌いそうだね」 『こわいひと』 「ソラの怖い人の基準が気になるなぁ」 ← | → |