反応を確かめる
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"うん"なら頷く、"ううん"なら首を振る。
それ以外の答えの時は、手のひらに指で書く。

それが2人の取り決め。




「…ソラ、お腹空いてない?」

首は横に振られる。

しかし、ウタはパンを持ってきた。

「嘘……じゃないだろうけど、分からないなら分からないって言って。もう1日食べてないでしょ」

ソラがそういったことに鈍いのはもう理解している。


「口開けて…」

小さく開かれる口。

そこにパンを小さくちぎって詰める。
雛鳥に餌を与えている気分だ。

こうしないとパンを持って動かないので手ずから食べさせている。




「…ソラが今までどうやって生きてきたか想像できないよ」




だからこそ面白い。
興味を引かれる。

喋らず、欲しがらず、生きたがらない。

誰かに生かされないと死んでいるような存在。










ウタは狩ってきた人間の腕を机に置く。
舌の上では眼球が転がっている。


ソラは椅子に座ったままで欠片も動じない。

骨の折れる音、肉の裂かれる音、血が滴る音。

「ソラも喰べてみる?」

ちぎった指を差し出してみるが首を振られた。
無機質な瞳には嫌悪感の欠片もない。

「ふ〜ん…残念……」



ソラの反応は良く言えば興味深い。
反対に、つまらないとも感じる。


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「ソラって怖いものあるの?」
『かみなり』
「嘘」
『ごきぶり』
「あー…女の子は嫌いそうだね」
『こわいひと』
「ソラの怖い人の基準が気になるなぁ」


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