![]() == == == == == ――またリゼさんに会いたい? 「――…うん、ちょっとだけ…」 顔くらいは見たい。 「そっか…。 今度蓮示くんに頼んでみるよ」 なかなか頷いてくれそうにはないけれど。 ♪〜 ♪〜〜 「けーたい、けーたいっと」 着信音を聞いてカバンの中を探す。 「……またあの知らない番号…?」 ウタはあの時聞かなかったことを後悔しているようだ。 だがディスプレイに映された番号は違うもの。 「違うよ、月山くんの――…お世話係さん…?」 何と表現するべき関係かよく分からず疑問形になってしまった。 3コール目に入ってしまう前に電話に出た。 「もしもし」 「……」 「叶くーん?もしかして月山くん関係?」 「…習様はどちらにいらっしゃる?」 また帰ってないのかー、とため息をつく。 「ごめんねー、知らないや」 「そうか…」 昔はつきまとわれたりしていた。 そのためたまにこうして行方を聞いてくるのだ。 「月山くん、今度はどれくらい帰ってないの」 「……連絡はあるが3週間ほどは戻られていない」 この間嘉納を探していて少し怪我をしたとも聞いている。 心配なのだろう。 「そっか。見かけたら連絡するよ」 「必ずだぞ」 はーい、と返事をして通話を切る。 「なんか、仲良さそうだね」 少し不満そうな目で見られる。 「別にそういうわけじゃないんだけど…」 「叶って言ってたけど、男の人?」 そう言われて叶の容姿を思い浮かべる。 「男のひ、と……う〜ん………女の人? ん〜〜〜……よく分かんない」 口調は男っぽいし、月山もそういう感じに接していた。 だが女性に見えないこともない。 「でも大丈夫だよ。 叶くんは月山くん一筋だから」 ((電話聞き込み)) == == == == == == == == == == 「叶くんってすごいんだよ。 お茶も上手に入れるし、気遣いとか完璧だし」 「へぇ……」 「でねでね、いい匂いするんだよ。 月山くんのお家、バラとか綺麗で手入れしてるんだって」 「ねぇ夢叶、その人のこと好きなの?」 「叶くん?好きだよ」 「そ。……妬けるなぁ…」 ← | → |