02
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夜、散歩をしていた夢叶の耳の届いたのは微かな破壊音。

音を辿ってみれば、そこは教会だった。





「なんで教会…?」


喰種には信仰心の厚い人もいるのかもしれない。

だが先程まで聞こえていたのは破壊音。
信者が教会を破壊するとはとても思えない。

となると、喰種同士の喧嘩。

夢叶は静かになっている教会の扉を押した。


「うわぁ…」


滅茶苦茶だった。

椅子は破壊され、祭壇も仕えたものじゃない。
至るところに血が飛び散っている。

「やっぱりね…」

中央で見知った喰種を見付けた。





「月山くーん、大丈夫?」





するとギリギリ聞き取れる声が聞こえた。

「そう…だ……喰べれば、一口…喰べれば…」

すると片腕のなくなった月山はもう一方の腕に噛み付いた。

「ちょ、何やって…」


「あぁ、…レディ夢叶。
見苦しい姿を見せてすまないね……」



その表情はいつになく辛そうだ。

それもそうだろう。

金木を喰べるために長らく断食していたのだ。

「……家に連絡しとこうか?それとも叶くん?」
「そう、だね…叶に」


((美食とは余裕の証))
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「だから虐めも程ほどにって忠告したのに」
「僕は美食を究めようとしているだけさ…」
「月山くんって美食バカだよね」
「おっと、それは予想外の評価。
だが、なんと言われようともこれが僕の生き方さ」
「うんうん、何か一つを究めようとする姿は好ましいと思うよ」


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