![]() == == == == == 夜、散歩をしていた夢叶の耳の届いたのは微かな破壊音。 音を辿ってみれば、そこは教会だった。 「なんで教会…?」 喰種には信仰心の厚い人もいるのかもしれない。 だが先程まで聞こえていたのは破壊音。 信者が教会を破壊するとはとても思えない。 となると、喰種同士の喧嘩。 夢叶は静かになっている教会の扉を押した。 「うわぁ…」 滅茶苦茶だった。 椅子は破壊され、祭壇も仕えたものじゃない。 至るところに血が飛び散っている。 「やっぱりね…」 中央で見知った喰種を見付けた。 「月山くーん、大丈夫?」 するとギリギリ聞き取れる声が聞こえた。 「そう…だ……喰べれば、一口…喰べれば…」 すると片腕のなくなった月山はもう一方の腕に噛み付いた。 「ちょ、何やって…」 「あぁ、…レディ夢叶。 見苦しい姿を見せてすまないね……」 その表情はいつになく辛そうだ。 それもそうだろう。 金木を喰べるために長らく断食していたのだ。 「……家に連絡しとこうか?それとも叶くん?」 「そう、だね…叶に」 ((美食とは余裕の証)) == == == == == == == == == == 「だから虐めも程ほどにって忠告したのに」 「僕は美食を究めようとしているだけさ…」 「月山くんって美食バカだよね」 「おっと、それは予想外の評価。 だが、なんと言われようともこれが僕の生き方さ」 「うんうん、何か一つを究めようとする姿は好ましいと思うよ」 ← | |