02
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朝、夢叶は焦っていた。


ソファで2人、落ちないようにくっついて眠った。

必然的に体には腕が回されたままで、睡眠下でも解けないくらい強く固定されていた。

起こそうと体を揺すってみるが、結果拘束が強まっただけ。

中途半端な動きが、逃げようとしていると認識されたようだ。





「ウタぁ………起きて……」


もう限界で、泣きそうな声が出た。

その声に反応を示し、うっすらと目が開く。

「ウタぁ……」
「……んー………?」

起きたことに気付いた夢叶はバッと顔を上げた。




「ウタ、トイレ……!」




きつく固定されたままで動けなかったのだ。

「トイレ………?」

眠そうに返したウタは、のろのろと起き上がった。


「ちょ……ウタ!?
自分で行くから!」


放して、と言ったつもりだったのだが、抱き上げられた。

覚束ない足取りでトイレの前まで連れてこられた。

「ん、トイレ……」

そこで漸く床に足を降ろすことができた。

「えーっと………これじゃ扉閉めれないんだけど……?」
「…手は繋いでないとダメ……」

我慢の限界で、仕方なく便座に腰を下ろした。

恋人が手を繋いでトイレの外と中なんて不思議な光景だ。




「う…ウタ、耳塞いでてよ……!」

「片手使ってるから無理だよ……。
それに、どうせ喰種の耳じゃ聞こえるから」

「っーーバカ!」




水の無駄遣いではあったが、1度流すことにした。

夢叶とて女。
少しの音でも恋人には聞かせたくはない。


「あれ、…もういいの……?」

「バカ……」

寝惚け眼で夢叶の頭を撫でる。
全然気にしていないのか、半分寝ているのか……。

「夢叶、ちゅーして…」

「ヤ」

だが結局ウタからしてくるのでそのお願いに意味はない。

部屋に戻ると、膝の上に座らされ、優しく抱き締められた。







「ーー夢でね、夢叶にぼくの赤ちゃんができたんだ……。
もし本当にそーなったら………夢叶はどう思う…?」



「………ウタとの時間が減るのは嫌…」

「夢叶も意外と独占欲が強いね…。……うん、…ぼくも夢叶との時間が減るくらいなら赤ちゃんはいらない」







もう1度、今度は先程より深く、熱が唇を割って入ってきた。

たまにはこんな時間があってもいい。
そう思えるほど、夢叶はウタに惹かれていた。


「もう一眠りする……?」

「んー、今日はあんていくに行くから……」

すると抱き締める腕の力が強まった。

「…またぼくを置いてくの……?」
「ならウタも一緒に行こうよ」

蓮示もいるし、と言うが首を横に振られた。

「ダメ……まだカネキくんのマスクが仕上がってないから…」

変なところで真面目だ。

ウタが情に訴えるような目で見てきた。

「そんな目で見ないでよ……。
もう、わかった………もう一眠りしよ」


「うん……ありがと、夢叶」


(("好き"も"イヤ"も貴方が愛しいから))
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「でも、もし赤ちゃんができたらどうしよ……?」
「どうしよって言われても……」
「ぼくが喰べちゃおうか…?」
「それは絶対ダメ!」
「どうして?…証拠も残らないよ……?」
「証拠とかの問題じゃないの!」
「怒らないでよ……。
それに、人間と喰種の赤ちゃんなんて滅多に妊娠しないから」


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