02 == == == == == 「サイン会……?」 立ててある看板にはその旨が書いてある。 「ふぅ…間に合っ…てないか…」 夢叶を走らせた女性は時計を見てため息をついた。 「いやぁ〜急に申し訳ない。 私はこういう者だ」 そう言って"サイン会"と書かれいてる前を指さす。 「…高槻、泉……?」 ぼさぼさの髪の間に見える瞳は楽し気に笑っていた。 「いかにも」 「はぁ、それで私が何か……?」 今まで彼女のサイン会に行ったことも、会った事もない。 「お姉さんを見た時にビビッときたので是非インタビューしたいと思ってだね」 そう言った高槻は、こっちこっちと手を引いて歩く。 「見ての通りこれからサイン会で…。 この控室で待っててくれんかね」 すでに控室に連れて来ている辺り、拒否権はないようだ。 最後に笑顔までつけられてごり押しされた。 「……話のネタになるような答えは返せませんよ…?」 「いいのいいの、こっちでテキトーにネタ拾うから」 作家とはこんな感じなのだろうか、と思いながら控室に入る。 「ではでは、暫しお待ちを〜」 ((売れっ子作家)) == == == == == == == == == == 「塩野くん、控室にお客を待たせてるんだが」 「高槻先生、控室にファンを入れちゃ…」 「大丈夫大丈夫、通りすがりのお姉さんだし。 まだ、そういうわけだからお茶と出前を幾つか頼むよ」 「そ、そんな急に…」 「因みに塩野くんのポケットマネーでお願いするよ」 「えぇ〜!?」 ← | → |