04
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「助け…て、……お兄ちゃ…」




自分が何をしているのかに気付いて、慌てて夢叶を放した。



座り込む夢叶を見て、ぼくは自分で自分の大切なものを壊そうとしていたことに気付いた。

早く謝らないといけないのに、その一歩が踏み出せない。

連れ去って喰べようとした時でさえ、ぼくを怖がらなかった。
その夢叶が泣きそうで、苦しそうで…。

それなのにぼくは、そんな夢叶をずっと見ていたくて…。




分かってる。

知ってる。


ぼくの中に夢叶に明かせないような衝動があること。

一緒に居てはだめだと諭して、ぼくから逃がしてあげないと。
もう一生ぼくから離れられず、羽を失った蝶の様に弱って死ぬ。


逃がしてあげたいと思うほどに愛している。

でも、…それでも一緒に居てくれるくらい愛してほしい。




















そしてほら、……結局ぼくは全然優しくない。




「――ごめん夢叶……。
今日は酷いこと、するかも……」




((それでもぼくの手を取って))
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どれだけ手を伸ばしてもぼくらは所詮爪弾き者で。
それでもいつか誰かの手を探して、
ぼくらは欠けた何かを埋めようとする。


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