03
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♪〜 ♪〜


「あ、」

夢叶が漏らした声にウタは顔を上げた。

「どうかした……?」

「メール、お兄ちゃんから」

内容は"ちゃんと飯は食ってるか?"だった。
仕事で帰ってこない代わりにこういった気遣いがメールで届く。

「お兄さんなんかいたんだ…」

そう言われ、言っていなかったことを思い出す。




「うん、血は繋がってないんだけどね」




"食べてるよ"と打ち、あとは何を書こうか迷う。

「…"たまには帰ってきてね"……夢叶は家にいないのに?」

ウタはメールの本文を見て、最もなことを言う。

兄が家を空けているおかげでこうしてウタの所に居られる。
だから下手に帰ってこられると少々困ることがある。

もし家に居なかったらどこに行っていたのか聞かれるだろう。

1度や2度ならタイミングが悪かったで済む。

だが何度も続けば誤魔化せることではない。

「だって、一応家族だし何か書かないと」

送信する。
仕事で忙しい兄がメールを見るのはいつになるか分からない。


「…ところで、夢叶のお兄さんってどんな人…?」

初めて聞いたんだけど、と妙に近い距離に寄って来る。

興味が完全に夢叶の兄に移ったようだ。

マスクの修理も中断して、夢叶にくっついてきた。





「どんなって……ん〜…"第一NPC"って感じだけど"現実では滅多にいない人"…かな?」





「何それ……」

「だってこれといって特徴がないんだもん…」

10年以上家族をしていても説明しずらい。

「でもいい人だよ?
帰ってこなくてもちゃんとメールとかくれるし」

仕事人間の割に家族想いなのだ。

「ぼくより…?」


「恋人と家族じゃあ"いい"の基準が違うでしょ」



((恋に溺れてたい年頃))
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「お義母さんとかは…?」
「いないよ?お兄ちゃんと住んでるから」
「ぇ……男と住んでるの…?」
「男って…お兄ちゃんだよ」
「でも男でしょ…」
「そーだけど……ほら、あんま家に居ないし」
「…もう此処に住めばいいのに……」


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