![]() == == == == == ♪〜 ♪〜 「あ、」 夢叶が漏らした声にウタは顔を上げた。 「どうかした……?」 「メール、お兄ちゃんから」 内容は"ちゃんと飯は食ってるか?"だった。 仕事で帰ってこない代わりにこういった気遣いがメールで届く。 「お兄さんなんかいたんだ…」 そう言われ、言っていなかったことを思い出す。 「うん、血は繋がってないんだけどね」 "食べてるよ"と打ち、あとは何を書こうか迷う。 「…"たまには帰ってきてね"……夢叶は家にいないのに?」 ウタはメールの本文を見て、最もなことを言う。 兄が家を空けているおかげでこうしてウタの所に居られる。 だから下手に帰ってこられると少々困ることがある。 もし家に居なかったらどこに行っていたのか聞かれるだろう。 1度や2度ならタイミングが悪かったで済む。 だが何度も続けば誤魔化せることではない。 「だって、一応家族だし何か書かないと」 送信する。 仕事で忙しい兄がメールを見るのはいつになるか分からない。 「…ところで、夢叶のお兄さんってどんな人…?」 初めて聞いたんだけど、と妙に近い距離に寄って来る。 興味が完全に夢叶の兄に移ったようだ。 マスクの修理も中断して、夢叶にくっついてきた。 「どんなって……ん〜…"第一NPC"って感じだけど"現実では滅多にいない人"…かな?」 「何それ……」 「だってこれといって特徴がないんだもん…」 10年以上家族をしていても説明しずらい。 「でもいい人だよ? 帰ってこなくてもちゃんとメールとかくれるし」 仕事人間の割に家族想いなのだ。 「ぼくより…?」 「恋人と家族じゃあ"いい"の基準が違うでしょ」 ((恋に溺れてたい年頃)) == == == == == == == == == == 「お義母さんとかは…?」 「いないよ?お兄ちゃんと住んでるから」 「ぇ……男と住んでるの…?」 「男って…お兄ちゃんだよ」 「でも男でしょ…」 「そーだけど……ほら、あんま家に居ないし」 「…もう此処に住めばいいのに……」 ← | |