![]() == == == == == 「夢叶、買い物行こ…?」 ウタの店は人間の客も訪れるが、ほとんどが喰種だ。 そのため店先にはあまり出ないようにと言われている。 暇を持て余している夢叶は店の奥で絵を描き耽っているのだ。 「お店は…?」 今はまだ営業時間のはず。 13時から21時が営業時間だが、修理などは営業時間外に縺れ込む。その影響に加え朝が弱いので、起きるのは大体昼前。 そうなると、店を休まなければ買い物には出られない。 営業時間後となると、開いている店は限られてくる。 「今日は18時からにする……」 この店は店主の気分次第で開店時間が変わったりする。 常に開けていても忙しなく客が来るわけでもない。 故に必ず開けておく必要性はない。 修理をしてもらいに来た客は、大抵モノを投げ込んでいく。 「で、買い物って何買うの?」 「マスクの材料も買ったし………ご飯は買った?」 紙袋を幾つか抱えた2人。 「うん!」 ほら、と紙袋を見せる夢叶。 喰種であればその距離でも不快感を感じかねない。 だがウタは嫌な顔一つせず笑った。 夢叶がウタの食事を否定しないことに起因している。 「なにか食べてく?」 出掛けたついでに、とスイーツを薦めてきた。 「滅多に食べないし…」 「いいよ。 この前、イトリがお客さんからの横流ししてくれたから」 「そう?じゃあ帰ろっか…」 ((仲が良い?いえ、迷子防止です)) == == == == == == == == == == 「イトリさんに餌付けされちゃダメだよ…」 「餌付け…!?」 「今の夢叶、まさにそれだから…」 「だって、イトリも処分するには心が痛むからって」 「喰種が人間の食べ物捨てるのに心は痛めないよ…」 「ぅ……でも私もおやつ食べれて一石二鳥だもん」 「そんなに食べたいならぼくが買ってあげるから…」 ← | → |