03
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手を引かれて4区のウタの店に帰った夢叶。

このまま仕事に戻ってくれれば…という淡い期待は見事に打ち砕かれ、表の札は"CLOSE"の文字。



「取り敢えずお風呂入ってきて。
他の奴の臭いがする夢叶とは話したくない」



ウタはきっと分かっている。

他の喰種の臭いではなく、他の喰種の"血の"臭いということが、最悪の状況を意味しないということを。

それでも許せないのなら、夢叶に選択肢は一つしかない。

言われた通りにお風呂に入り、余計な臭いを洗い流すこと。

なので何も言わずに従った。















「で…出た、よ…」



どこが臭うのか分からないので結構な時間を掛けた。

「こっち来て…」

ベッドに座っているウタは隣を叩いた。

隣に座ると早速、ちゃんと臭いが消えているかチェックされた。
それに合格して漸く、ウタの空気が柔らかくなった。




「それじゃあ質問……何で血の臭いしてたの?」

「喰種に襲われて…」

「だろうね。それで?誰に助けてもらったの…?」

「えっと、喰種捜査官…」

「何で白鳩と一緒に居たの…?」

「お金がなくて困ってたみたいだから…。
歳も近そうだったし、可哀想かなって……」


ウタが黙り込む。

何か悪いことを言ったかと心配になる。

「……それだけ?他に余計なことしてない…?」
「大丈夫!ウタのこととか教えてないから」

タトゥーのことは言ったが、それだけでは喰種に結びつかない。

「そうじゃなくて、他に何かしてあげてない…?」

「他……あ、ピンあげた」

「自分のものあんまり他人にあげちゃダメだよ…。
他は?」

「もうないよ、なにもしてない」



すると抱き締められた。
そしてそのままベッドに倒れ込む。

「…ならいいや…。
助かったならあんまり気にしてないし…」

私の緊張感返せ、なんて口が裂けても言えない。

怒ってないみたいで良かったと安堵する。





「もう1個質問なんだけど……。
何で最近ぼくのとこ来てくれなかったの…?」



待ってたのに、と言われると罪悪感が生まれる。

ウタのその言葉は心に突き刺さる。

「えっと、…特に大した理由はないんだけど……」

そこで先日の大事件を思い出す。

「少し前にね、面倒な友達が意地悪した報復受けちゃったみたいで、家に連絡したりお見舞い行ったり…」

後者は熱烈な招待状を貰ったためなのだが。


「面倒なのに友達なの……?」


「………知人、かな。一方的に気に入られてるみたいで」

たまに逃げ道のない正論をかざしてくるので困る。

「………その知人って月山くんでしょ…?」
「あれ、知ってるの?」

正直性格合わなそうなのに……。

「この前イトリさんがカネキくんに彼に探り入れるように勧めて蓮示くんに怒られてたから……」

それを聞いて納得してしまう。

「あぁイトリが…」


((お仕置き尋問))
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「罰として暫くここに泊まること…」
「暫くってどのくらい?」
「…1週間以上」
「お泊りするなら荷物取りに行きたいんだけど」
「ダメ。ぼくの使っていいから」


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