![]() == == == == == 「でね、人が知らんぷりしてるのにチラチラ見てくるの!」 イトリの店に押し掛けた夢叶は早速愚痴っていた。 「ばったり会うなんて夢叶も運悪いわねぇ」 突然押し掛けた夢叶にコーヒーを出したイトリ。 だが今はお酒が提供されている。 「ところで夢叶、臭うわよ」 「!?」 袖やジャケットの匂いを嗅いでみる。 「そんなんでウーさんとこ行ったら怒られるわよ?」 「え、なんで? 何か臭うの?」 喰種ほど嗅覚は優れていない。 「血よ、血の臭い。 何で夢叶から喰種の血の臭いがするんだか……」 そう言われて最近の血生臭い出来事を思い出す。 「ちゃんとお風呂入ってる?」 「は…入ってるよ! この前は疲れてたからシャワーで済ませただけで…」 什造に付き合って食事に行く前のことだ。 あの時の喰種の血臭が染みついていたようだ。 「ウーさんとこ行くならお風呂入ってからにしなよ」 「いいもん…。 行く気ないから…」 「何で来ないの……?」 聞き覚えのある声に慌てて出入り口を見た。 「ぅ…ウタ…」 「いらっしゃい、ウーさん。 まだ開店前なんだけど?」 「カネキくんが連れて行かれたって……蓮示くんが」 夢叶はニコたち2人組だと思った。 実際は他にも来客が居たのだが。 「夢叶も店に居たって言うから…。 無事みたいで良かったけど」 心配して探してくれたらしい。 しかし、いかせんタイミングが悪い。 「何でぼくのとこ来ないの? 最近ずっと来てくれないよね…。 それに、何で血の臭いさせてるの…?」 ((どこへ行ってもタイミングが悪い)) == == == == == == == == == == 「ありゃりゃ。 夢叶は今日、厄日ね〜。 最近会ってない上に今日の条件じゃウーさんも冷たくなるわ。 男の独占欲ってやーねぇ。 …にしても、ホント何で血の臭いさせてるのかしら」 ← | → |