03 == == == == == 「何か昔の蓮示くんってトーカさんっぽかったよね」 「ぽいね! 1人で暴走しちゃうトコとかタブるよね」 「…俺の話はもう良い…そのぐらいにしろ」 馬鹿2人、と言う蓮示に火に油を注ぐようなことを言う2人。 「…コイツに会いたい理由があったんじゃなかったのか」 イトリは本題に入る前に金木に血酒を出した。 「アルコールなんかじゃないから安心して」 「(ワイン…じゃない。もっとドロッとした…) …血ですか?」 そんな感じ、と肯定して金木の持つグラスを傾けた。 バシャ 「ちょ…っと!何を…」 血酒が服に染み込んでいく。 「イトリさん荒っぽい…」 だがイトリが気にした様子はない。 「うひょーすごい初めて見た。 隻眼の"喰種"」 赫眼が発現していることに気付かなかった金木。 慌てて左目を手で覆った。 「隠さなくても今は"喰種"しかいないってば。 へー、"あっちの隻眼"もこんな感じなのかねぇ」 タオルを渡しながら蓮示に聞くが、真実は分からない。 「あの…僕以外に片方だけこの眼の"喰種"がいるんですか?」 興味があることに気付き、頭の隅から知識を取り出す。 そして人差し指をペケさせる。 「カネキくんはさ、人間と"喰種"が交わったらどうなると思う?」 「ひょっとして…人間と"喰種"の子供が生まれる……?」 「死んじゃうの」 そもそも懐妊する可能性自体相当低いのだ。 「母親が人間だと、"喰種"の子供に必要な栄養なんか摂れないから胎内で餓死しちゃう。母親が"喰種"だとしても、体が赤ちゃんを栄養と勘違いして吸収しちゃうんだって」 それは喰種の性質を鑑みれば、おかしな話ではない。 喰種は同種でも喰う…所謂"共喰い"だ。 「でも、極まれに生まれてくるヤツがいるんだって。 "喰種"と人間のハーフとして」 イトリは"雑種強勢"という言葉を持ち出した。 それはライオンとトラを掛け合わせた場合のライガー。 ライガーは両方よりも優れた形質を持った雑種になる。 「ハーフの"喰種"は純粋な"喰種"よりずっと優れている」 つまり、ハーフの"喰種"とは例えでいうライガー。 「そしてソイツの赫眼は片方だけに発現するんだって」 ((都市伝説の証明)) == == == == == == == == == == 「昔のウーさんに比べたら全然荒っぽくないって」 「そう…?」 「そうそう!蓮ちゃんにメガネ貶されただけで喧嘩吹っ掛けたり」 「10代ってそんなもんだよ……」 「いーや!10代でも"女の子の日"に襲うような奴いないわよ」 「だから誤解だって…」 「ウーさんが何言おうが関係ないわ。ウーさんならやりかねない」 「…襲ってないのに…」 ← | → |