06
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「すまないな」


出されたお茶を飲みながら待っていると兄が来た。

CCGで泊まり込みで働くことも多く、必要なものはそこそこ置いているのだが、少し不足してきたらしい。

頼まれたそれらを渡し終えた夢叶。

「気にしなくていいよ。
お兄ちゃん、仕事忙しいんでしょ」

すると小さく頷いた。

相変わらず感情表現が少ない。




「…ちゃんと飯は食ってるか?」

「お兄ちゃんよりはね」


「睡眠は?」

「寝すぎなくらい」



安心したように笑われた。

「あまり生活リズムを乱すなよ」
「りょーかい!」

元気に笑って敬礼した。

滅多に会えない家族に会うのは嬉しいのだ。
例え恋人との時間を削ることになっても。

「すまないな、あまり帰れなくて…」

「メールくれるから許してあげる」

気にしないように言っても気にするだろうから許すと言った。















「じゃ、そろそろ帰るね。
お仕事の邪魔しちゃ悪いし」


すると兄はもう一度謝ろうとした。

だから夢叶は耳を塞いだ。
これは夢叶の癖で、聞きたくない時にするのだ。

ホラー番組などを見ている時によくしている。



「ありがとう……助かった…」



昔してくれたように頭を撫でてくれた。

夢叶は嬉しそうに笑った。
少し物足りなくて兄の手を持ってもっと撫でさせた。

たまに甘えたくなるのだ。

一通り撫でてもらい、満足した夢叶。


「じゃ、頑張ってね」




「あぁ。
お前も帰り道、喰種なんかには気を付けろ…」




((どこまでも真面目な仕事人))
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「もしもし?」
「用事は終わった…?」
「終わったよー」
「迎え行こうか…?」
「喰種が1区彷徨いてたら危ないでしょ」
「夢叶だって、変な人に絡まれたら危ない…」
「大丈夫!お兄ちゃんに護身術習ったから!」
「……ちゃんと使えるといいけど…」


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