05
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カラン…


「夢叶……お兄さん大丈夫だった…?」


店に入ればマスクを作っていたらしいウタが顔を覗かせた。

「うん、何とかね」

2日間は何ともなかったし、什造との関係も健全で友達のようなものとちゃんと説明しておいた。

因みに、什造との関係はウタには秘密だ。



「あと、これ」

此処に来る途中で買ってきた、頼まれていた物。
なんでも、マスクを作るのに必要らしい。

普段はウタ自ら買い出しに出るが、ついでに頼まれた。

「ありがと」

マスク作りに集中しているのか、少し素っ気ない。
でもそれがウタらしい。


「ウタ、珈琲淹れよっか?」

「うん、お願い…」

温かい内に飲んでもらえそうにないな、と思いながらも、いつものようにキッチンに向かった。















「え、カネキくんあんていくに戻らなかったの?」




今更ながらにあの時の報告を受けた。

何でも、今は数人の仲間と身を隠しながら動いているらしい。万丈という元11区の喰種やヒナミ、月山までいるという。

「カネキくん、よく月山くん連れて行く気になったね」

1度は喰べられそうになった相手。

「んー……まあ、月山くんは強いからね」

経済力もあるし、と付け加える。

強くなり喰べられる心配も減れば、使える人材には違いない。


「カネキくん……どこに行こうとしてるのかな?」

今回のことで少なからず考え方に影響があったはずだ。

「さぁ…。
でも彼が自分で進むなら、ぼくらは見守るだけだよ」

「…そうだね」


((見守ることも務め))
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「あ、そういえば」
「どうかした?」
「私3日後に友達と動物園行ってくるから」
「動物園?」
「うん。だから店来れないよ」
「……ちゃんと暗くなる前に家に帰るんだよ」
「もー、お兄ちゃんじゃないんだから」


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