![]() == == == == == 「だからケータイは友達の家に忘れてたんだよ」 あの後、兄に連絡したら相当心配された。 「そうか…」 「あ、信じてないでしょ。 こっちに来る友達がついでに届けてくれたんだから」 ほんと優しい、なんて芝居をうつ。 「そうか…」 そればかりであまりにしつこいと逆に疑われそうだ。 「もう…何心配してるんだか……」 「……男が出来たんじゃないかと思ってな」 飲んでいた紅茶を吹きそうになった。 「お、男!?」 まさか兄からそんなことを言われるとは思わなかった。 「まっさかぁ。 何でまたそんなこと?」 「…何となくだ」 それが一番困ると言うのに。 「いやいや、私から男の話全然でないでしょ」 ウタ以外で親しいのは蓮示などの喰種ばかりだ。 まさか兄がそれを聞きつけるとは思えない。 昔から親しい男友達もそれほどいなかった。 「いや、つい最近聞いた」 ぎょっとした。 バレるようなヘマはしていなはず。 「(もしかして私がいない間に家帰ってたり…?)」 嫌な想像とはどんどん広がるものだ。 「鈴屋が食事に行ったと言っていた。 今度は動物園に行くとも言っていた」 ほっと胸をなで下ろす。 「あぁ〜、什造くん。 うん、行ったけど……聞いたの?」 あれからたまに連絡を取っていて、食事に行ったりする。 兄の言う通り、今度は動物園に行こうと話した。 「ああ」 「(もしかして付き合ってるって思ってるのかな…?)」 ((それ、勘違いです)) == == == == == == == == == == 「お兄ちゃんに心配されるような関係じゃありませ〜ん」 「……ならいいが」 「ところでお兄ちゃんこそいい人いないの?」 「…何故そこで俺に振る」 「だってお兄ちゃんもいい年だし、浮いた話の1つや2つ…」 「俺は凡人(フツー)だからそんなことをしていたら死んでしまう」 「あー…急にリアルな話するの止めようよ、お兄ちゃん…」 ← | → |