04
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「だからケータイは友達の家に忘れてたんだよ」



あの後、兄に連絡したら相当心配された。

「そうか…」

「あ、信じてないでしょ。
こっちに来る友達がついでに届けてくれたんだから」

ほんと優しい、なんて芝居をうつ。

「そうか…」

そればかりであまりにしつこいと逆に疑われそうだ。

「もう…何心配してるんだか……」





「……男が出来たんじゃないかと思ってな」





飲んでいた紅茶を吹きそうになった。

「お、男!?」

まさか兄からそんなことを言われるとは思わなかった。

「まっさかぁ。
何でまたそんなこと?」

「…何となくだ」

それが一番困ると言うのに。



「いやいや、私から男の話全然でないでしょ」



ウタ以外で親しいのは蓮示などの喰種ばかりだ。
まさか兄がそれを聞きつけるとは思えない。

昔から親しい男友達もそれほどいなかった。


「いや、つい最近聞いた」


ぎょっとした。
バレるようなヘマはしていなはず。

「(もしかして私がいない間に家帰ってたり…?)」

嫌な想像とはどんどん広がるものだ。





「鈴屋が食事に行ったと言っていた。
今度は動物園に行くとも言っていた」





ほっと胸をなで下ろす。

「あぁ〜、什造くん。
うん、行ったけど……聞いたの?」

あれからたまに連絡を取っていて、食事に行ったりする。

兄の言う通り、今度は動物園に行こうと話した。

「ああ」


「(もしかして付き合ってるって思ってるのかな…?)」


((それ、勘違いです))
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「お兄ちゃんに心配されるような関係じゃありませ〜ん」
「……ならいいが」
「ところでお兄ちゃんこそいい人いないの?」
「…何故そこで俺に振る」
「だってお兄ちゃんもいい年だし、浮いた話の1つや2つ…」
「俺は凡人(フツー)だからそんなことをしていたら死んでしまう」
「あー…急にリアルな話するの止めようよ、お兄ちゃん…」


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