02
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「ご馳走さまでした」

空になったコンビニ弁当。

ウタが部下に命じて買ってこさせらしい。



普段より早く食べ終わってしまった。
単純にお腹が空いていたのと、顔を上げられなかったから。

テーブルを挟んだ向こうのソファでウタが食事をしている。

彼は喰種、人間とは食べるものが違う。

血の滴る鮮度の良いどこかの肉。
それが人間の肉であることは想像に難くない。

本来なら自分もああして喰われていたのかと思う。

実際に見てみると体が震える。





「ご飯も食べたし、シャワーでも浴びようかな」





喰種もそういうことをするのかと勝手に勉強する。

「夢叶も来て…」

手を掴まれたと思ったら簡単に立ち上げられた。

「あ、ちょっと……!」

まさか、と嫌な想像をしてしまい足に力を込める。

「私、後でいいから……!」
「わざわざ2回も来るの面倒でしょ」

女が男に、人間が喰種に敵う筈もなく引きずられる。



「ここがお風呂」



案内(?)されたのは小綺麗な浴室だった。
ここは喰種の住み処とは思えないくらいには清潔だ。

「じゃあ、ちゃんと教えたから…」

すると掴んでいた手をパッと放した。

用が済んだウタは、シャワーを浴びるため服を脱ぎ出す。

「……夢叶も入る?」
「い、いやいやいや!自分で入るよ!」

馬鹿みたいな想像をしてしまったことを恥じ、慌てて断る。

「そう?残念……」

それが本心かどうかは分からない。
ウタは小さく笑っていた。

下の服に手をつけたので慌てて背を向けた。





「ピュアだね、夢叶……」




((扉の閉まる音がした))
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「ねー、なに想像してたの…?」
「べ、別になにも」
「嘘つくの下手だね、夢叶」
「な…何のこと?」
「心配しなくてもトイレとお風呂は別だから」
「…………どうでもいいかな」
「知ってる、一緒にお風呂入ると思ったんでしょ」
「!!」


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