03
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夢叶が眠りにつき、数十分後…。
コンコンと店の扉を叩く者がいた。




「……こんばんは、ウタさん」




金木だった。

「やぁカネキくん。
……マスクでも壊れた?」

「――……」

どこか思い詰めた様子の金木。

迎え入れたウタはもう1脚、椅子を用意した。















「――僕は……"アオギリの樹"を潰せば平穏に暮らせると思っていました。敵がハッキリさえしていればそのために強くなれる」




そのためにあの後、居場所であったあんていくも離れた。

「…でも」

蘇るのは嘉納との再会。

「嘉納先生に『"アオギリ"を生んだのは芳村店長』だと言われてわからなくなりました」

金木には蓮示がリゼを連れて行った理由も分からない。

「"あんていく"こそ僕にとっては………」

それ以上言葉は続かなかった。

金木が俯いてしまったからだ。


数拍の後、再び顔を上げる。

「こんな風に僕の気持ちが揺らいでたんじゃこれ以上強くなれない。みんなを守るどころか傷付けてしまう……」

やはり先日の、万丈を負傷させたことを気に病んでいるようだ。

それもそのはずだ。

金木は守るために力を手に入れ、万丈たちの同行も許可した。

その優しさゆえ、間違った力の使い方を嫌う。






「ウタさんに聞きたいんです。
"あんていく"の事、四方さんの事、店長の事。

僕は……わからない事だらけだ…」







それまで静かに耳を傾けていたウタ。
作りかけのマスクに向き直るが手はつけない。

「…ぼくはマスク屋だからお客さんの秘密は話せない」

けど、と続ける。


「カネキくんは特別なお客さんだから助けになってあげたいな」



((強くて脆い、優しい君だから))
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「ごめんね、お店で。いま夢叶が寝てるから」
「――…お二人は凄いですね…。
僕は…疑り深くて、……でもウタさんたちはお互い信じてて…」
「ん〜…ぼくだって夢叶に探り入れることあるよ?
でも、夢叶には夢叶だけの秘密もあるんだって割り切ってるから」
「……やっぱりすごいです…」
「何て言うか…心の隅っこに間借りしてるみたいな感じ」
「夢叶さんならずっと貸してくれそうですね」


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