02
== == == == ==

あまり使われることのないキッチン。

そこに立つのは夢叶と……。




「ウタ?向こうで待ってていいよ…?」




夢叶にくっついたままのウタである。

「ダメ……離さない」

ウタは一定期間離れているとその反動でくっつき虫になることがある。夢叶も似たようなもので、結局寂しがりなのだ。

「はいはい」


手慣れた所作で珈琲を淹れる。

この豆はこの間あんていくで買ってきたものだ。

「はい、どうぞ」

マグカップを差し出すが、珈琲なんて見向きもせずに夢叶の匂いを嗅ぐのに夢中だ。

鼻の利く喰種はみんなこうなのだろうか。
それともウタが匂いフェチなだけか…。

「ウタ、珈琲冷めちゃう」

頭を撫でれば漸くマグカップを手放せる。















「寝る……?」


夢叶はベッドに腰かけて聞いた。

ソファで寝ることを好むウタと違い、夢叶はベッド派だ。

「ううん……眼が冴えちゃって。
ボクはもうちょっとマスク作ってるよ」

枕に頭を預ければ、ウタに撫でられた。



「おやすみ…」



((誰にも必要なもの))
== == == == == == == == == ==
「(しまった……こんな時間にカフェイン摂らせるんじゃなかった…)」
「夢叶?どうかした?」
「ご、ごめんね、私のせいで」
「??」
「私が言うのもなんだけど、ちゃんと寝てよ」
「うん。だからボクのスペース空けといてね」
「え、今日はこっちで寝るの……?」


|



TOP