02 == == == == == 「――…今回の作戦…勝者は一体誰なんですかね」 宇井は公園のベンチに先輩の平子と座っていた。 その表情からは先の作戦の疲れが見える。 「さあな。俺は役目通り戦うだけだ。 その先は上の方々の判断に任せる」 「それ"思考放棄"って言うんですよ先輩」 無表情すぎて疲れの欠片も見えない平子に言った。 「――あ、それで妹さんと連絡つきました?」 平子は首を振った。 「一体どこに行っちゃったんでしょうかね…?」 「…」 消えた、とは言わなかった。 喰種に襲われる可能性は無きにしも非ず。 だが今は20区の作戦もあり、捕食事件自体が減少している。 20区から逃れようとした喰種は残らず有馬の餌食となった。 喰われた、とは考えにくかった。 平子は数年前の事を思い出す。 何カ月も夢叶がいなくなったあの時を。 あの時、夢叶はふらりと消えて、ふらりと帰って来た。 何があったのか、何度聞いても口を開かなかった。 夢叶のいない間、ずっと嫌な予感がしていた。 そして今回も…いや、以前以上に嫌な予感がしている。 ――帰って来ない気がした。 そんな一瞬の思考をすぐに捨て去る。 「…またいつか帰ってくる。 また何もなかったみたいに…」 ((本物みたいな嘘の笑顔で)) == == == == == == == == == == 「携帯が生きてたらGPSで探せますが…」 「いい。私情で仕事を増やすつもりはない」 「…まぁ、皆さんクインケ壊されまくって仕事どころじゃありませんけどね」 ← | → |