![]() == == == == == あの後、言葉の真意を聞こうとしたが、はぐらかされてしまった。 そして夢叶がウタたちのアジトに馴染み始めた頃…。 「――夢叶ってホントに人間…?」 そんな訳の分からない質問を受けた。 「当然そうだけど…」 人間以外の何があるというのか。 顎に手を当てて首を傾げるウタ。 「な、なに?質問の意味、違った…?」 仮に違ったとしても夢叶には他の意味が思いつかないが。 「――…まぁいいや」 散々考えて結果がこれだ。 「喰種なんて喰べられたものじゃないしね」 理解の及ばない夢叶を放置して1人納得するウタ。 「そうだ、この前言ってたタトゥーのデザインってどう?」 ウタが急に話を変えるのはいつものこと。 夢叶も流石に慣れた。 「ぁ、うん。一応考えてみたけど…」 スケッチブックを取って描いたページを探す。 「あったあった」 「見せて」 夢叶が持つスケッチブックを覗き込むウタ。 必然的に顔が近付く。 ウタは全く気にしていないが夢叶はびっくりする。 同年代の異性とはあまり近付くことがなかったためだ。 「うん、いい感じ。 そうだ、ココのところ塗り潰してみたら?」 ウタの指が紙の上の線をなぞる。 「(いつかこの手にタトゥーが入るのかなぁ…)」 綺麗な手なのに勿体ない、とじっとみてしまった。 「夢叶?聞いてる?」 「え、ごめん。なんて?」 我に返り慌てて聞き返す。 「だから、ココのとこ塗り潰したら?って」 そこは塗り潰そうか迷っていたところだった。 「ぁー…うん。私もそう思ったんだけど、……塗り潰すと針刺して墨入れるのに大変だし痛いかな…とか」 するとウタは理解し難いと言いたげな顔をした。 「夢叶って……フツーだよね」 今度は夢叶がわけが分からないと言いたげだ。 「ボクら喰種に囲まれていつ死ぬか分からない生活してるのに普通に馴染んでるし。それってホントはすごく異常だよね」 夢叶は一瞬の間を置いて、困ったように笑った。 「それは…多分ウタがいるからだよ」 最初にウタを見た時と同じ。 ウタの赤い瞳を見ると何故か心が落ち着くのだ。 「…やっぱり変なの」 その言葉にもやはり困ったように笑うだけだった。 「兎に角、ここは塗り潰して。 ボクに彫るんだし、そっちの方がいい」 はいはい、と答えて黒く塗り潰すマークを描いておく。 「ボクら喰種はすぐ治るし」 「……そういう問題じゃないし…」 少し怒ったような顔をすればウタは笑った。 「大丈夫、ボク痛いのは慣れてるから」 ((全然大丈夫じゃない)) == == == == == == == == == == 「ねぇ、夢叶もタトゥー彫らない?」 「彫らない」 「ボクがデザイン考えてあげるよ?」 「結構です」 「どうして?」 「逆にどうして彫ると思うの?」 ← | → |