02
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「――またイショですか?」



篠原と什造はファミレスに来ていた。遺書の話は聞かせない方がいいだろうと、夢叶とは別れていた。

「決まりだからね」

「でも言い残すことなんかないです」

「なんでもいいんだよ」

すぐに思いつく者の方が少ない。

喰種と戦い、死に近い者でも、いつ死ぬかは分からない。

「仲間や友達にありがとうとかそんなんでもさ。
でも、落書きだけ描くのはもうよしてね」

パフェを頬ばる什造に釘を刺しておく。










「――平子班長。
書けましたか?例の…」



本局で、平子は部下と並んで歩いていた。

「遺書か?祖父と祖母、それから妹に貯蓄を譲るというのを書いた」

「さすがシンプルっスね…。
俺正直なに書いていいかわかんないっス」

平子は両親に感謝の言葉でも書けばいいと言う。


「…有馬特等とかどんなこと書くんスかね…」


有馬の無敗はもはや伝説だ。

「有馬さんは……いつも白紙だと仰っていた」

「白紙!?スッゲェ……。
"俺が負ける訳がない"ってゆーことっスかねぇ……やっぱ!?」

「…いや」

かつての上司の顔を思い浮かべる。





「彼はいつも何を書こうか考えていた。
その上で白紙なんだ」




((残すべき人))
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「――……"遺書"…と読めますね。
丸手さん…自殺は良くないッス」
「バカいえ、テメェのだ」
「え…俺死ぬんスか?」
「違ェよ。今回の作戦の参加条件だ。
U課の俺らや補佐のお前が死ぬ事なんかほとんどねーが。
対Tの連中が書いてるのに俺らが書かねーんじゃ示しがつかねーだろ」
「俺はいつもこんな感じ」
<YEAH死んじまった葬式はいらないぜ BYEマブチカツヤ>


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