![]() == == == == == 「――またイショですか?」 篠原と什造はファミレスに来ていた。遺書の話は聞かせない方がいいだろうと、夢叶とは別れていた。 「決まりだからね」 「でも言い残すことなんかないです」 「なんでもいいんだよ」 すぐに思いつく者の方が少ない。 喰種と戦い、死に近い者でも、いつ死ぬかは分からない。 「仲間や友達にありがとうとかそんなんでもさ。 でも、落書きだけ描くのはもうよしてね」 パフェを頬ばる什造に釘を刺しておく。 「――平子班長。 書けましたか?例の…」 本局で、平子は部下と並んで歩いていた。 「遺書か?祖父と祖母、それから妹に貯蓄を譲るというのを書いた」 「さすがシンプルっスね…。 俺正直なに書いていいかわかんないっス」 平子は両親に感謝の言葉でも書けばいいと言う。 「…有馬特等とかどんなこと書くんスかね…」 有馬の無敗はもはや伝説だ。 「有馬さんは……いつも白紙だと仰っていた」 「白紙!?スッゲェ……。 "俺が負ける訳がない"ってゆーことっスかねぇ……やっぱ!?」 「…いや」 かつての上司の顔を思い浮かべる。 「彼はいつも何を書こうか考えていた。 その上で白紙なんだ」 ((残すべき人)) == == == == == == == == == == 「――……"遺書"…と読めますね。 丸手さん…自殺は良くないッス」 「バカいえ、テメェのだ」 「え…俺死ぬんスか?」 「違ェよ。今回の作戦の参加条件だ。 U課の俺らや補佐のお前が死ぬ事なんかほとんどねーが。 対Tの連中が書いてるのに俺らが書かねーんじゃ示しがつかねーだろ」 「俺はいつもこんな感じ」 <YEAH死んじまった葬式はいらないぜ BYEマブチカツヤ> ← | → |