03
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がむしゃらに走ったせいで、知らない場所にいた。

空気は生暖かく淀んだ、薄暗い路地。
夢叶は乱れた呼吸を整えていた。


「…あの人……」


知らない人だ。

だが、本能が逃げろと叫んだ。
孤児院の終わりの時より怖かった。

足が震えている。

走った疲労だけでないのは夢叶が一番分かっている。


立っていられず、壁にもたれて座り込んだ。






「――1人でこんな所に居ちゃ危ないって教わらなかったかなぁ。

なァ、お嬢ちゃん」






驚いて顔をあげる。

路地から出る道を塞ぐように立つ男。
その目は赤が爛々と輝いていた。


「…喰……種…」


思わず溢した言葉に男はにんまりと笑った。

「ご名答。喰種をあっさり受け入れられる人間はそうそういねぇぜ。お嬢ちゃん、こっち側の人間かァ?」

夢叶は立ち上がり逃げ道を探した。

「ははっ、その反応は違ぇな!」

なら遠慮は無用、と襲い掛かってくる。

それを寸でのところで躱し、逃げ出す。



「ははは!逃げ足の速ぇうさぎは好きだぜ!!
疲れて動けなくなったところをじっくり喰ってやるからよォ!」










夢叶は走って走って、走り続けた。



((ハンティングの兎の如く))
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「すげェ!あんたどんどん匂いが増してやがる!!」
「ほらもっと逃げてみろよ!!喰っちまうぜ!?」
「最高だ!なんて美味そうなんだ!!俺に喰われろ!!!」
「じっくり、その綺麗な顔が歪むように甚振ってから喰ってやるからよ!!」


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