![]() == == == == == 「トーカさんはどうなの?可愛いと思うよ」 「いや……彼女はちょっと怖いから…」 「「怖い…?」」 夢叶とウタは顔を見合わせた。 「ぼくは"努力家だなぁ"って思うけど」 自分とは違う印象にウタを見上げる。 「……ぼくらが人間社会に溶け込むのなんて、言っちゃえば"終わりのない綱渡り"みたいなもんでさ…毎分毎秒"進むか堕ちるか"のギリギリで…足がもつれたら眼下の奈落へ真っ逆さま……渡ってきた距離なんか関係なしにその瞬間すべてがパアになる……」 夢叶は先の見えない暗闇に架かる1本の綱を思い浮かべた。 人間の自分には到底分からない不安が付きまとうだろう。 「この綱も自分の選択次第で具合が変わってさ、人間と深く関わるほどに渡る綱は細くなってく……何もしなければそれが一番いいワケだからね」 そういう意味では董香は"すっごい細い綱"を渡っている。 あんていくの仕事だけではなく、高校にも通っている。 「…自分の身を危険に晒してまで……ヒトと交わろうとする理由って何でしょう…」 「何だろうな…たしかに人里離れて生きてれば安全だもんね…」 それでも、董香や芳村はヒトと交わることを選んだ。 「…でもね、ぼくもたまーに人間のお客さんが来ると…こう…ドキドキしてさ……上手く言えないけど……たのしいよ。 それに、…此処にいなかったら夢叶にも会えなかっただろうし……なにも悪いことばかりじゃないよ…」 「ーー!」 一瞬驚いた夢叶。 だがすぐに、ふにゃりと嬉しそうに笑った。 「…よし、採寸終わり。 マスクが出来たら"あんていく"に送るね」 ((遠ざければ得られなかったモノ)) == == == == == == == == == == 「夢叶、描けた…?」 「うん、バッチリ!」 「??」 「あぁ…夢叶のデザインも取り入れてるんだ…」 「1人でやっててスランプになっちゃったら困るからね」 ← | → |