06
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「……喰種ならよくある話だ」



蓮示には年の離れた姉がいた。

両親と兄は物心つくまえに殺された2人きりだった。

弟の蓮示と違いよく喋る人で、強い人だった。

しかし…。

『……死んだ?』
『…ごめん……彼女を…守れなかった…』




「…姉に手をかけたのは特例で喰種捜査官に就任したわずか16歳の少年だった」





――有馬貴将

伝説的喰種"梟"との戦いで大きな成果を収め、二階級特進。
現在は准特等まで駆け上がった無敗の喰種捜査官。

…CCGの「死神」





「その有馬の駆逐対象が蓮示くんのお姉さんだった?」

2人は人の集まっているアジトを出ていた。
建設途中の鉄の骨組みに腰掛け、街を見下ろしていた。

「家族想いなんだね」

4区にいると縁のないものだった。



「いいよ。その"復讐"ぼくが手伝うよ。
ちょーど4区に来てるわけだし、それにぼくら友達でしょ?」



蓮示は答えなかった。

だが、断らない辺り、ウタへの信頼が見える。















2人は電波塔へと身を移していた。
そこには他の仲間も集まっている。

「蓮示くん」

黒い何かが投げられる。

受け取ってみればそれは喰種のマスクだった。


「…お前がつくったのか?」

「昔からモノづくりが好きなんだ」
「4区の仲間のマスクはぜんぶウタさん製なんだぜ」

器用なんだな、と感心しながらありがたく貰う。




「4区のリーダーやめたら
そのうちこれで商売でも始めようかな?」




「ええっ、やめないでくださいよ…」

慕われているのが分かる。

ウタはまとめ役なんて柄じゃないし、統治なんてしない。
適任が現れれば立場を譲るだろう。

それでもまとめ役を下りない当たり、意外と面倒見はいいのだ。

「でもいいスね、マスク屋」


話している間に白鳩が集まって来た。

…と言っても、ウタたちが見下ろしている場所に、だ。

他の場所ではすでに仲間たちが動いている。
何十人もいる白鳩も少しは数が分散したことだろう。



「それじゃあ行こうか」



((他人のために戦うなんて初めてだよ))
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「ウタさんが作ったものは女受けもいいッスよね」
「あれ、そうなんだ」
「この前なんて妬まれて1人死んだのもいますよ」
「へぇ〜、まぁあげた後にどうなろうと知ったことじゃないけど」


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