02
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「カラスくんの件が落ち着いたと思ったら…。
喰場を荒らされるなんてぼくも舐められてるのかな」



首を絞めあげられた喰種が低く呻く。

「ぁ、…あんた……4区の、ウタ……」

「あれ、ぼくのこと知ってるんだ」

微かに声音が変わっただけで、表情は変わらない。
赫眼からは冷たさが滲んでいる。

「その女が…逃げ入っただけ、で……荒らすつもりなんて…」

ウタは気を失った夢叶をチラリと一瞥した。

「でもさ、あの子が4区で死んだら白鳩は4区に来るわけだし、……やっぱり君は余計なことしかしてないよ」

弁解しようと口が開く前に、首を折ってもぎ取ってしまう。

そして夢叶の傍に膝をつく。






「…残るはこの子だけど……なんかすごいいい匂いするな…。

喰べちゃいたいけど、さっき喰べてきたトコだし…。
やっぱり美味しそうな子はお腹が空いた時に喰べるべきかな…」






頬に残っていた雫を指で掬い、舌で舐め取る。

「ーー!
涙まで甘いなんて、その血肉はどんな味がするのかな…」

ウタは夢叶を荷物のように肩に担いだ。

そして仲間たちが待つ住処に足を進める。



「今日は良い拾い物をしたなぁ…」



((メシアは誘拐犯でした))
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「あー、でもやっぱり腕の1本くらい味見したいな…」
「お前……遂に誘拐まで始めたのか…」
「あ、蓮示くん。ただいまー。誘拐じゃなくて助けてあげたんだよ」
「………」
「信じてないって顔してる」


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