![]() == == == == == 「カラスくんの件が落ち着いたと思ったら…。 喰場を荒らされるなんてぼくも舐められてるのかな」 首を絞めあげられた喰種が低く呻く。 「ぁ、…あんた……4区の、ウタ……」 「あれ、ぼくのこと知ってるんだ」 微かに声音が変わっただけで、表情は変わらない。 赫眼からは冷たさが滲んでいる。 「その女が…逃げ入っただけ、で……荒らすつもりなんて…」 ウタは気を失った夢叶をチラリと一瞥した。 「でもさ、あの子が4区で死んだら白鳩は4区に来るわけだし、……やっぱり君は余計なことしかしてないよ」 弁解しようと口が開く前に、首を折ってもぎ取ってしまう。 そして夢叶の傍に膝をつく。 「…残るはこの子だけど……なんかすごいいい匂いするな…。 喰べちゃいたいけど、さっき喰べてきたトコだし…。 やっぱり美味しそうな子はお腹が空いた時に喰べるべきかな…」 頬に残っていた雫を指で掬い、舌で舐め取る。 「ーー! 涙まで甘いなんて、その血肉はどんな味がするのかな…」 ウタは夢叶を荷物のように肩に担いだ。 そして仲間たちが待つ住処に足を進める。 「今日は良い拾い物をしたなぁ…」 ((メシアは誘拐犯でした)) == == == == == == == == == == 「あー、でもやっぱり腕の1本くらい味見したいな…」 「お前……遂に誘拐まで始めたのか…」 「あ、蓮示くん。ただいまー。誘拐じゃなくて助けてあげたんだよ」 「………」 「信じてないって顔してる」 ← | |