![]() == == == == == 「げっ……ウタさん…」 口元を引き攣らせて相手の名前を呼んだ。 「久しぶり」 ウタがそう言った瞬間、叶華は金木から離れた。 先程までの様子からは想像できない速さだった。 「お…久しぶりです…」 イトリの方を見ながら挨拶を返す。 叶華が退いたおかげで体勢を直せるようになった金木。 背中を支えてくれたウタに礼を言っている。 「あっはは、叶華はほんとウーさん苦手ね〜」 両本人のいる前で堂々と言う。 「イトリさぁん…」 謀ったな…とジトリとした目で見つめる。 「ボクは叶華さん好きなんだけどなぁ…」 「えっ……」 ウタの視線が声を漏らした金木に向く。 「――……でもカネキくんに先越されちゃってるみたい…」 そう言うと残りの血酒を飲み、イトリにおかわりを頼む。 「えっと……あ…」 金木は困ったように頬を掻いた。 「??」 「ほら、叶華はさっさと着替えてきなさい」 状況を読めていない叶華のお尻を叩いて奥に向かわせる。 「カネキチ、叶華はうちの看板娘だから取ってかないでよ〜」 叶華が着替えている間にどうしてここで働いているのか聞いた。 イトリによると、単にバイトのようなものらしい。 彼女も喰種、たまに訪れる人間の相手は人間にしてほしいそうだ。特につまみとして出すものは叶華に任せているそうだ。 ((再会の喜びを肴に)) == == == == == == == == == == 「じゃあ皆さんが喰種ってことは…」 「知ってるわよ?当り前じゃない」 「……」 「ふふ、危ないことしてるって思ったでしょ」 「い、いえ……」 「大丈夫よ、ここに来る喰種はそんな飢えてないもの。 それに、うちの店員に手出させるほど優しくないわ」 ← | → |