![]() == == == == == 「はい、ウーさん。 言われてたやつ」 飲みに来たウタに数枚の資料を渡す。 今日は蓮示の姿はない。 「ありがと、イトリさん」 血酒を片手にペラペラと捲っていく。 「あの家、前までは結構飼い人がいたみたいだけど、」 「人間の男、…か」 5年ほど前、プライベートで会った人間の男がいる。 それ以降、叶華が飼い人を買った形跡はない。 「ここ数年、あの周辺の捕食事件や誘拐事件も減ってるみたいだし、本人だけじゃなくて家の連中も小食みたいね」 仕えている喰種が喰べないなら従者も多くは喰べられない。 「たかが人間にね…」 時期を見てもその男が何か影響を与えたのは明白。 「で、何か気になる事でもあったの?」 何も聞かされていないイトリは不思議そうに聞く。 「彼女の屋敷、人骨がいっぱい飾ってあったから。 1体だけ私室に置いてたからどんな奴かなって」 「あー、それがコイツっぽいわねぇ」 資料の写真の男をなぞる。 「2年前から行方不明になってるらしいわよ」 元々病気を患っていたらしく、叶華が殺したのか病死したのかは定かではない。 「……あそこまで死体にこだわられると、引っ張り出して無理矢理にでも元の彼女に戻したくなるなぁ…」 昔の叶華の写真の赫眼の部分をなぞる。 「ったく、どこでスイッチ入っちゃったんだか…」 イトリはため息をつき、追加の血酒を取りに行った。 ((手始めにどうしようかな…)) == == == == == == == == == == 「なに、戦ってんのが見たいの?」 「んー……それも見たいけど」 「生きた人間喰べてるとこ見たいわけ?」 「死体ばっか喰べてるなんて可哀想だから…」 「つっても本人が好きで喰ってんでしょ」 「…取り敢えず白鳩でも入れてみようか」 「ウーさん、それ冗談抜きで危ないから」 ← | → |