地下の誓い
== == == == ==

「……………は?」

心底わけが分からないといった調子の声。





「叶華さんのことが好きなんだ。
だから怪我されると困るというか……嫌なんだ」





ここ最近では1番の驚きだ。

「はぁ………それで監禁と……?」

呆れた表情で問う。

「別に抱きたいからこんなこと言ってるわけじゃないよ。あ、でも好きだから抱きたいって気持ちはあるかな」

気が付けばベッドに押し倒され、手首を縫い付けられている。


「らしくないね、ウーさん」

叶華は至って落ち着いた様子で応える。

「叶華さんが全然ぼくを見ないから……」

どうしたら見てくれるかな、と呟いて唇を奪ってみる。

「人のハジメテ奪うなんて強引だね、ウーさん」
「…初めて感ないからもっと恥ずかしがってよ……」

本当に初めてかは定かではないが、キスではまだまだらしい。




「……叶華さんはぼくの何が好きで一緒にいたの?」


「何がって、ん〜………強いて言えば、戦ってるトコ?」




ウタの戦い方は珍しい。
卑怯だと言うものもいるが、面白いのだ。

「ぼくが最近戦わないから飽きたってこと…?」

「飽きた飽きたって、人を浮気性みたいに酷いなぁ」

実際そうだろうとは突っ込まない。


「ウーさんの魅力は別にあるって。
大体、飽きてたらとっくに忘れて音信不通だって」


叶華は小悪魔のように笑うとウタの頬を挟んだ。

「ウーさんってほんと、楽しいことの宝庫だから」

ウタ自身が魅力的であり、一緒にいることで更に楽しいことが舞い込んでくる。なんと幸福な環境か。







「ウーさんの好きとか嫌いとかは分かんないけど、少なくともまだ離れようとは思ってないから」







今度はウタが驚く番。

「ねぇ叶華さん、」

ウタは叶華の手を取った。


「好きとか嫌いとか分かんなくていいから、
ぼくと付き合って?」


離れない、一緒にいるという証を。

「……もっと楽しませてくれる?」

「叶華さんに飽きられないようにね」



餌を目前にした空腹の獅子のような目。
叶華は満足そうに笑い、自らウタと影を重ねた。


((道化がばらまく砂粒ほどの真実))
== == == == == == == == == ==
「じゃあさ、さっそく有馬くんと戦いたいんだけど、」
「ダメ」
「ほら、楽しませてくれるって今さっき、」
「それとこれとは別。怪我はダメ」
「………部屋出るのは?」
「ぼくと一緒の時だけ」
「……ウーさんの束縛男」
「何とでも。それに、屋内でできる愉しいこともあるよ?」
「例えば?」
「気持ちいいこととか」


|



TOP