空っぽな宝箱
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「ーー……ったぁ、……ヘマしたなぁ…」

塞がった傷口をさすりながら起き上がる。

「んで、ここドコよ………」



見知らぬ部屋には窓がなく、4畳ほどの小部屋だ。
扉が2つあり、冷蔵庫とテーブル、ソファだけ置かれている。



「お腹すいたなぁ…」

誰の仕業か知らないが、冷蔵庫が漁ることにする。

気を利かせて人間の肉でも入っていれば、と。

「まぁ、そんなわけないよね……」

やはり人肉は見当たらず、あるのは水だけ。


「ったく……退屈なトコに押し込めてくれちゃって。
折角有馬くんと戦えたのに……」

叶華がやってみたかった事の1つだ。

「人間のくせにいい動きするなぁ…」

おかげで珍しく傷を負ってしまった。

個人的にはもっと戦いたかったのだが、他のメンバー……主にウタに無理矢理引き上げさせられた。

「ん、ってことはウーさんの仕業?」




赫子で扉をぶち破ってもよかったが、気分じゃない。

叶華は大して足しにもならない水を胃に送り込み、ソファに戻ってクッションを抱いた。


「面倒だし、取り敢えず寝る………」



















くんくん


随分と良い匂いがする。
新鮮な、血の滴る人間の肉の香りが。

「…お腹………すいたぁ……」





「それって寝言?それとも起きてるの?」





もう1つ、覚えのあるにおい。

「ウーさん!」

「おはよ、叶華さん」

暢気に挨拶してくるウタの手には新鮮な肉。

「朝ごはん!」
「もう夜だけどね……はい、叶華さんの」

渡された皿には、肉だけでなく臓器や眼球もある。


「、でさぁ、、なんで、私、、、閉じ込め、られてんの、」

食事マナーなんて知らない叶華。

肉を口に含んだまま疑問を投げ掛ける。

「食べるか喋るかどっちかにしなよ」

「、、、、、ん……で、なんで?」

臓器をぷにぷにと指で押しながら聞く。






「ぼく叶華さんのこと好きなんだ」





((きっと何より輝いて見える))
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「ここウーさんの店の地下でしょ」
「疑問系じゃないんだ」
「だってここ窓ないし、湿度高めで涼しいし」
「ドナさんみたいだね」
「あんなサトリと一緒にしちゃ悪いって」
「見ず知らずの相手まで暴いちゃうもんね」
「わたしはウーさんと付き合い長いし。
それにウーさん、そんな長く店空けらんないでしょ」


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