![]() == == == == == 「あの、ウタさ…」 「その服なに?」 返ってきたのは冷たい声。 「ぼくが買ってあげた服じゃないよね」 「これは、……ウタさんと同じピエロの人が…」 冷めた目で見られ、言葉に詰まる。 「へぇ……まあ似合ってると思うよ…」 そう言って作業を始めてしまう。 「ウタさん…」 一番大切な人が離れていく。 焦燥感に駆られ、手を伸ばそうとした。 「サイズも合ってるみたいだけど………なに?ぼくにするみたいに脱いだの?それともそいつと寝たの?」 怒っているのが分かる。 「違います!私はウタさんの物で……!」 すると、ウタが動いた気がした。 目で追えるスピードではなかった。 気付けば床に押し倒され、首に手を掛けられていた。 「……ぼくの物なら何で勝手なことするの…?」 殺されるかもしれないと思った。 いや、壊されるかもしれない。 作品として無価値な物に。 死への恐怖はなかった。 もとより叶華にとっての繋がりはウタのみ。 作品でなくなれば、繋がりもなくなる。 何もないのなら、生に未練もない。 「あんまり勝手だと……壊すよ…?」 「……分かりました。"壊して"ください。ウタさんの作品でいられないなら、生きる理由なんてない…」 受け入れるように手を広げる。 だが、それは他ならぬウタに払い落とされた。 「違う……違う……」 「ウタさん……?」 そして突然抱き締められた。 「叶華……ぼくは殺したいわけじゃない」 暫く無言の状態が続いた。 叶華はどうにもできず、固まっていた。 「………叶華」 「、はい」 急に呼ばれ、慌てて返事をする。 「やっぱり壊す……。 勝手に離れてく叶華は…いらない……」 叶華は覚悟を決めて目を瞑った。 「だから……これからは1人の人間として…ぼくの隣にいて」 ((進展の前の変革)) == == == == == == == == == == 「そのピエロって……?」 「宗太(?)……って言ってました」 「あぁ、彼……」 「本当にメンバーだったんですか?」 「うん……仲間内でもマスク外さないけどね」 ← | → |