![]() == == == == == 休暇も明け、仕事場へ向かった叶華。 「おはようございます!平子さん」 上司の背中を見付け、挨拶をする。 「ああ……。 ……休暇はちゃんと休めたか…?」 冴えない顔をしてるが、これでも上等捜査官。 「はい!」 あの後、ウタとショッピングに出掛けたり、最近手掛けた作品を見せてもらったりした。 「そうか……」 「バリバリ働くので無理せずお仕事回してくださいね」 叶華が居なくなった店内で、ウタは店も開けずに作業台に向かっていた。 「はぁ……」 しかし、ため息ばかりで作業が進まない。 原因はわかっている。 「…叶華……」 久しぶりに会った"作品"のせい。 十数年前に拾い、作品として自分好みに育てた人間。 どこまでも思い描いたままに成長する生きた作品。 だが、今はどこか物足りなさを感じていた。 ウタは作業を止め、出掛ける準備をした。 友人に意見を求めてみることにしたのだ。 選んだのは無口な友人ではなく、物知りな友人。 「え、まだ"作品ごっこ"やってたの?」 イトリは驚いて、そして笑った。 「確かに素材は良かったけどさぁ、普通育てる? いくら気に入ったからってねぇ……」 ウタは血酒を飲みながら仕方ないと思った。 「ぼくだってもの作りの端くれだから…」 いい素材があったら作りたくなる、というのがウタの弁だ。 「ま、あたしゃ素人だしねぇ〜。 それでもあたしの意見が聞きたいって?」 「うん……どうしたらもっといい作品になるかな…?」 もの好きだねぇ、と言いながらも考えてくれる。 「そうねぇ……さっきも言ったけどあたしゃ素人だし、大したこと言えないけど……………"作品"と"作り手"って関係だけじゃ、いいモンは作れないんじゃない?」 ((自らも作品の一部に)) == == == == == == == == == == 「で、叶華いま何やってるの?風俗?」「……流石にぼくもそんなトコに放り出さないよ」 「え〜嘘ぉ。てことはまだ寝たことないの?」 「ないよ。……今は捜査官、一等の」 「うわぁー、何でよりにもよって白鳩?」 「程よく鍛えれるし、自分の身は自分で守ってくれないと」 「情報も得られるし?」 「それはどうでもいいけど、イトリさんが要るなら聞くけど」 ← | → |