作品としての自覚
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「うん……終わったよ」


そう告げられ、起き上がる叶華。

「どう、でしたか?」

少し不安そうな顔をする。

「合格だよ。
ぼくの言いつけ、ちゃんと守ってるみたいだね」

「はい!」

嬉しそうな顔で答える。





「だって私はウタさんの"作品"なんですから…!」





自分の身体を自分の物ではないと自ら言う。

そんな叶華に、ウタは再びベッドへ腰掛ける。

「ウタさんに拾ってもらった時から私はウタさんの作品だから、ウタさんが思い描くものになりたいんです」

少し気恥ずかしげに言う叶華。

「……そう…」

ウタは従順な作品の頬を撫でた。

「それじゃあ……これからもぼくだけの作品でいるんだよ」

「はい!」

迷いのない返答。



ウタは叶華を抱き締め、横になった。

「ウタさん?寝るんですか……?」

「ううん寝ないよ。
……でももう少しだけこうしてたい」

「はい、………ウタさんが望むなら、どんなことでも」










キッチンに立つ叶華。
その叶華を後ろから抱き締めているウタ。



「あの、ウタさん……?どうかしたんですか?」

ウタの珍しい行動に、肉を捌く手を止める。

「何でもないよ……続けて…」

そう促せば、包丁を動かすしかない叶華。
ウタが仕留めた人間を、手慣れた様子で捌いていく。

人間を解体することに欠片の嫌悪も感じていない。

大人になった今でも、習慣は抜けないのだろう。


「(こんな感じで仕事もしてるのかな……)」


人間に躊躇がないのだ。
作品と自負する自らを害する喰種にも容赦ないだろう。

指を這わせ唇を割ろうとすれば、叶華から口を開く。

暖かな舌に指を絡ませる。


指を抜けば唾液でまみれ、舐めれば甘い味がした。



((生きる理由))
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「また食べないの……?」
「後で食べます。
アレはウタさんの気分を害しちゃうので」
「ぼく大丈夫だよ…?」
「じゃあ私が気にするのでダメです」
「そういうトコばっかり自分の意思持つね…」


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