傾いたセンキョク
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「はいミカちゃん、貸し1つね〜」





グレンの刀を自身の剣で受け止めたフェリド。

グレンは横っ面を殴られ、吹き飛ばされる。

『グレン!!』

「うっは〜やーべ、予想と段違いだ。
あの長髪の吸血鬼が尋常じゃなく強ぇ」



「ねぇミカ君、人間をあんまりなめない方がいいよ。
彼らは強かで欲深くて卑怯だからーーな〜んて、元人間の君に言うのもなんだけどね〜」


うるさい、と折角の忠告に耳を貸さない。

「さて、そろそろ本気でいこうか。2人でやれば…」

「もう問題ない」

どうやら個人主義を徹底するようだ。

「向こうのやり口はわかった。
ーーー剣よ、もっと血を吸え」

「ふふ、やっぱり傲慢」

フェリドは少しだけ困ったような笑いを溢した。




「その傲慢さはこないだまで人間だったせいかなぁ〜」







グレンは時計を見る。

「こりゃ薬二錠コースかねぇ。
もしくは新宿を捨てて撤退するか…」

そしてもう1つの可能性を口にする。

「ーー優たち黒鬼装備の援軍が間に合うか」


「いけません!グレン様!
二錠飲んだら死ぬ可能性が…!!」

「飲まなくても死ぬだろ、これ」

そうでなくとも薬の効果時間が残り8分。

それまでにミカたちを始末するとなると…。




「話は終わった?
ならもう行くよ」




剣を構えるミカ。

「そりゃご丁寧にどうも。
でももうちょっと待ってくれっかな〜?」

それはどれくらいかと聞く。

「ちょっとお薬の時間なんで。
20秒だけ静かに待ってくれるとありがた…」


キンッ


「まぁ待ってくれねぇよなぁ」

ぎりぎりでミカの斬撃を受け止めた。

「おまけに、てめぇさっきより速ぇじゃねぇか」
「もう手加減はやめたんだよ」

「戦場で手加減とかお子様だなァおい」





「そのお子様に殺されるんだ、お前は」





次の瞬間、刀を弾かれ丸腰になってしまう。

スッ

とどめとばかりにゆったり構える。

「くっそ…。
(こりゃここで死に……)」

諦めモードのグレン。



それを見るフェリド。
そこにはいつもの笑みがなく、冷めた目をしていた。



((たった1人の存在が勝敗を分ける))
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「お?敵の援軍はっけ〜ん。
ミカちゃん、早く始末しないとまずいよ〜。
(って、またどっかいなくなってるし……)」
「ふん、終わりだ人間」
「…クソが」
「(あーぁ、また探さなきゃなぁ〜)」


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