![]() == == == == == 今なら分かる。 あの時、私の血を吸っていたのはあの吸血鬼だったこと。 「降りろ」 起きたらどこかの屋敷にいた。 そしてベッドの覆いはなくなっていた。 吸血鬼に言われるまま、絨毯の敷かれた床に足を下ろす。 「入れ」 肩を押されて大きな扉をくぐらされる。 「えっ…ちょっと……」 すると扉は閉じられ、真っ暗な部屋に1人残される。 「どこなの…? 何も見えない…」 視界ゼロの状態。 手探りで進んでみる。 裸足なので絨毯の感触がよく伝わってくる。 数歩進んでも何にも当たらない。 「あはぁ〜、いらっしゃいルカちゃん♪」 突然背後から聞こえた男の声。 「!!……あれ?」 急いで振り返るが、そこには誰もいない。 「こっち、こっち」 「!」 暗闇に慣れ切っていない瞳。 それでも、そこに何かが居るのは分かった。 「だれっ……!!」 「もうムリ♪ ルカちゃん、いい匂いさせすぎ」 大きな手に両肩を掴まれた。 頬にさらさらと細い何かが当たる。 そして、首筋に鋭い何かを突き立てられた。 「ーーっ!!!」 採血の時に刺される針とは比べ物にならない痛み。 ジュルッ 大事なものがが吸い出される感覚。 「(…吸、血鬼……!?)」 止めさせようと相手を押してみるがびくともしない。 「(…熱、い…!)」 体中が熱い。 「(あっ…つい………変な、感じ…)」 「ぷはぁ〜。 危ない危ない、止まらなくなっちゃうトコだった」 起きたら私の家族を殺した男がすぐそこにいた。 「フェリド・バートリー……」 「あはぁ〜、そんな顔しないでよ」 ((目覚めたら日常はすぐそこにあった)) == == == == == == == == == == 「あの時のルカちゃんも可愛かったなぁ」 「………」 「あ、警戒心だらけの今も可愛いですよ?」 「………」 「虐めたくなる♪」 「…サイテー……」 ← | |