![]() == == == == == 「……おい」 ミカはフェリドの屋敷に来ていた。 「おや、君から僕の所に来てくれるなんて」 「お前に聞きたいことがある」 続きを遮ったが、フェリドは気分を害した様子はない。 「ん〜何ですかぁ?」 今日も例の少女をそばに置いているフェリド。 しかし寝ているのか気分が悪いのか、フェリドにもたれ掛かっている。 「………ルカはどこだ」 ミカは睨み付けて言った。 「さぁ〜?」 あからさまなとぼけに、ミカは殺気を抑えない。 「……あの時、お前が連れていった筈だ。 ルカをどこにやった?」 フェリドは1つため息をつく。 「知ってどうするんです?」 「…………会ってお前から取り戻す」 「君に会えるんですかぁ?」 言葉に詰まるミカ。 「愛しの優ちゃんやルカちゃんに、吸血鬼になった姿を見せるのが怖いのに、本当に会えるんですかぁ?」 「黙れ……!」 「ほら、否定できない」 「黙れ…黙れ!黙れ!!」 怒鳴るミカにフェリドは口を閉じた。 そしていつもの笑みを潜めた。 「殺しちゃいましたよ。 頭を撃たれた上に腕をちぎられたからねぇ。 手近な家畜から吸血するのは当然でしょ。 殺す気はなかったけど、仕方ないよね…?」 半分はミカ君や優ちゃんのせいですし、と言われる。 「そんなっ……!」 ルカが死んだことと、自分達のせいであること。 それらに絶望しているミカ。 あの日見た絶望をもう1度見られ満足気なフェリド。 「………と言ったらどうします?」 「なに……?」 ミカが顔を上げれば満面の笑みを浮かべているフェリド。 「だからあ〜。 どこまでが本当で、どこからが嘘だと思います?」 「っ!お前……!」 弄ばれたことに気付く。 ミカは聞く相手を間違えた、と言いたげな雰囲気だ。 そして怒りを滲ませた表情でフェリドの屋敷を出た。 部屋に残っているフェリドは楽しげに笑っている。 「また気付いてもらえませんでしたねぇ」 膝に座らせた少女のフードを取る。 貧血で顔色の悪いルカだった。 ((こんなに近くにいるのにねぇ)) == == == == == == == == == == 「おや、ミカ君が来ますね」 「っ!ミカ……!」 「はいはい暴れなーい」 「放してっ、ミカに会わないとっ…」 「でもミカ君、吸血鬼になった姿を見られたくないかもですよ?」 「それはっ………」 「僕が聞いてあげるから、ちょっと休んでなよ」 「ちょ…やめ………」 「はいうるさーい、ミカ君が気付いたら会わせてあげますよ」 ← | → |