紙上のウソ
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見下ろす先には輸送機。
次々に指定箇所に運ばれる。




「漸くですねぇ」




ミカの隣にはフェリドがいた。

「嬉しくないんですか?
漸く君の大切な天使君に会えるかもしれないのに」

柵にもたれ、肘をついている。

珍しく例の少女は連れていない。

ミカは何も答えず、その場を離れる。



「君には期待してますよ、ミカ君」



楽し気な声音のフェリド。

そこにルカが現れる。

「やあルカちゃん♪
こんなところにどうしたんです?」

ルカはごそごそと懐を漁り、1枚の紙を取り出した。




「…あなたが呼んだんでしょ。
ミカに会わせるからって」




紙にはその旨が書かれていた。

「そうでしたっけぇ〜?」

とぼけるフェリドに紙を握り潰す。

「とぼけないで!」
「怖いなぁ」

フェリドに掴みかかる。


「……いい加減にしてよ」

怒気を含みながらも、その声は震えていた。

「私はっ……ミカがいるから、あなたなんかに…!
早くミカに会わせてよ…!」

だがその瞬間、ルカは首を掴まれ持ち上げられた。






「……そう怒るなよ」




フェリドが首筋に噛み付いた。

「くっ…!」

血を吸われる。
常に貧血気味のルカはすぐに意識を飛ばした。

コクリ

最後の一口を呑み込み、牙を抜く。



「はぁあ、口を開けばミカ、ミカ、ミカ、ミカ……。
少しは黙ってよね」



((会せてあげないよん))
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「ルカちゃんといい、ミカ君といい…。
何でそこまでお互いにこだわるのか……。
あ、恋!恋ですね!
となると、とことん邪魔するしかありませんねぇ♪」


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