人間のエリート
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「…はは、そう、私の血は飲むの。

ならあなたはもう私から離れられないわね。永遠に…永劫に、貴方は私の犬になるのよ……百夜ミカエラ」










ミカは腰のホルダーを開ける。

そこには容器に詰めたクルルの血がある。
その内の1本を取り、蓋を開ける。

ゴクッ

「(クルルの血が10日分…。
10日以内に優ちゃんを見つけないと……)」

そこでもう1人の家族を思い浮かべる。

「……ルカ…」

ミカは振り返り、高い場所にいるフェリドを見た。



「…ルカはどこにいる。
この任務中に会せると言っただろ」



フェリドは笑っていて、また誤魔化すのかと思った。

「心配しなくても近くにいますよ♪」

「……?」

可能性は低いが、辺りを見回してみる。

その時、視界の端で動くものを見つけた。
それは建物の屋上からフェリドの隣に降り立った。





「おや、帰って来ないかと思いましたよ」





例のフードを被った少女だった。

少女は黙ったままフェリドに近付く。

「おい、……その子は誰だ」

背格好がルカっぽかった。記憶にあるのは4年前の姿だが、自分の成長と比較して女の子であることを考慮すると彼女くらいだ。

「(口元だけじゃ分からない、…顔を見たい)」

ミカの考えに気付いたのか、フェリドは少女を抱き寄せた。


「だめですよミカ君、この子は人見知りなんですから。
っと、……おや?」

「ーー!!」






少女はフェリドの手を掴み、噛み付こうとしていた。

そして微かに覗く吸血鬼特有の牙。






「はいストッ〜プ」

何かに気付いたフェリドがその場を離れる。
もちろんフードの子も抱えて。


ドンッ!!


フェリドたちがいた所には1人の男が立っていた。

「…なんだあいつは……」

砂煙の中、こちらを見ている黒髪の男。
フェリドを見ていたようで、ミカの背後に降り立った。

「うっはすごい、何人も一気に殺された」

そういう割には楽しそうだ。

「人間側も主力出してきたなぁ…」
「…主力?」

少女はフェリドの手をはむはむ…と噛んでいる。
…が、先程見えた牙はなく、フェリドの手は無傷だ。

フードの少女より目の前の案件が先だ。





「吸血鬼殲滅部隊の中でもエリートのーー"月鬼ノ組"だよ」





「まずった、司令塔殺し漏らしたー」

問題無さげに言うのはグレン。

「まあいい、ここ制圧すりゃ俺らの勝ちだ」

フェリドたちの下に吸血鬼たちも集まってくる。

「おーいお前ら。人間のちは美味かったか?
言っとくが……今のが最後の晩餐だぞ、お前ら

刀を構え、力を寄越せ、と言うと黒いものが溢れ出る。



「鬼刀"真昼ノ夜"」



((吸血鬼すら恐れない))
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「(はぁ、どこ行っちゃったのかなぁ…)」
「ここ…、どこ…?」
「(ミカ君のお守りもしないといけないのに)」
「あ、リボンの人」
「(僕は忙し……ん?
あれ……何で上から降ってくるわけ…?)」


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