![]() == == == == == 「発狂死…?」 「そんな事が何件か続いたので、誰の血液を飲んだのか調べてみたら……ーールカちゃんのだったワケですよ」 本人の知らないところでそんなことがあったらしい。 「面白そうだったので僕も飲んでみたら…」 「普通飲まないでしょ……」 つっこんでみるがまぁまぁと流される。 「飲んで驚き、とっても美味しかったんですよ」 なら何故吸血鬼たちは発狂死したのか。 「大方、血の濃さに耐えられなかったんでしょう」 血の濃さ…?と聞き返す。 人間であるルカには分からない世界だ。 「同じ人間でも、その時の体調や気分、相手によっても味が変わるんですよ」 飲んだことがないのでそんなこともあるのか、と思う。 飲みたいとは思わないが。 「ルカちゃんの血はとても濃く、吸血鬼の理性を狂わせる。 そして甘美な味に酔い惑わせ、破滅に導く。 ただの人間にしては危険すぎる血、ということですよ」 ルカには到底理解できない。 人間は美味しいものを食べても正常を保てる。 故に糧である血を飲みおかしくなる理由が分からない。 「よく分かんない…」 「ふふ、まあ分かる必要もありませんしね」 するとフェリドはルカの首筋に顔を埋める。 「ーーっ、」 「正直、僕も何度理性を失いそうになったことか…」 「なら止めてよ」 ハッキリと言うがフェリドは聞く耳を持たない。 「止めませんよ。 こんなに美味しい血なんですから」 ガブッと噛み付かれる。 「いっ…!」 ジュルル…と血を吸われる音に目を閉じる。 先程血を飲んでいたためか、それほど吸われずに済んだ。 「なんでそんな危険を冒してまで…」 発狂するかもしれないと知っていながら飲むなんて。 少なくとも人間はそんな危険は冒さない。 「そうですねぇ〜…」 考えるように天井を眺める。 「………僕ら吸血鬼は長く生きていると、人間にとって大切なものを色々落としていくから…。 ……刺激が欲しくなる。 長い生の退屈を紛らわすためのね」 ((初めて彼の心に触れた気がした)) == == == == == == == == == == 「フェリドは、その……大丈夫…?」 「あはぁ〜ん、心配してくれるんですかぁ?」 「べっ、別に心配なんか!」 「大丈夫ですよ、貴族ですから」 「そういうもん…?」 「僕は紳士だから、鉄壁の理性を持ってますよ」 「……」 「あはは〜、何か言ってよ〜」 ← | |