あの日のゲンイン
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分からないことがある。
フェリドに字や遊びを教えてもらっても、分からない。



「戻りましたよ〜」



扉を開けて入ってきたフェリド。


「お…おかえり……」

「いい子にしてました?」
「寝てたから…」

フェリドは剣を机に置き、グラスに血を注ぐ。

直接吸血するところを見せられないだけマシだ。

だが、ソレが血であることを知っているためいい気分ではない。





「なんです?何かついてますか?」





「えっ?ぁ、いや…」

血の入ったグラスを持って近付いてくる。

「あんまり見つめられると照れるじゃないですかぁ」
「、ごめん…」

彼が照れるとは思えないが一応謝っておく。

不躾に見つめるのはよくない。



「これでも僕、シャイだからさ」


「(……嘘くさ…)」

それだけはありえないと思う。

「あれぇ、ルカちゃん今ひどいこと思ったでしょ」
「い…いや、別に……」

こんなに動揺したら嘘だと言っているようなものだ。

「演技がヘタだなぁルカちゃん、顔に出てたよ」

フェリド相手に隠し事をするのは無理そうだ…。










「、…フェリド」



栄養補給を終え、一息ついているフェリドを呼ぶ。

「なんです?」

「ど…どうしてあの時、直接血を吸ったの……?」

採った血はまず貴族に献上されるらしい。
ならわざわざ呼び出して血を吸う必要性はない。

そのことがずっと不思議だった。

これを聞けるのはフェリドに少し歩み寄ったから。


あの時?と一瞬考えて思い出したのか手を打つ。

「知りたい?」

もったいぶるフェリドにコクリと頷く。





「じゃあベッドにでも入って話しますか」





そう言ってベッドに上がってくる。

「えっ、それ関係ない…」

「えぇ〜知りたいんでしょ?」

この際知らなくてもいい気がしてきた。
だが、今更断って無意味なのは知っている。


そうして、何故か抱き締められているルカ。



「教えた通り、採血した血はまず貴族に献上され、その後、下位吸血鬼に適当に配給されます」

このまま説明するのか、と思うが大人しくしている。

「献上されると言っても選別されているわけではないので、残念ながら僕はルカちゃんの血にありつけず……」

何故そこで残念がるのかよく分からない。

話の腰を折るのは悪いので口は挟まない。





「まぁ、事の発端はあれですね。
血を飲んだ数名の吸血鬼が発狂死したことです」




((吸血鬼たちを襲った事件))
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「いやぁ、ベッドで弱ってるルカちゃんもいいですねぇ」
「(……何だか嫌な視線…)」
「あはぁ〜、そんなに警戒しなくても♪」
「……必要最低限の警戒です」
「敬語に戻ってますよ〜?」


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