![]() == == == == == 「ひどいよクルル。 くっつくとはいえちぎられる瞬間は痛いんだよ」 腕、と言う。 「このまま首もちぎろうか?」 この実力差ならそれも容易いだろう。 「……それは困るなぁ。 よし、負けを認めよう」 フェリドはこれ以上この件には踏み込まないと言う。 「…………………」 疑いの眼差しは消えない。 「本当だ。第一、君に逆らってここで生きていけるとは僕も思ってないしね」 「……フン、いいだろう」 クルルは例の生物を再び肩に乗せる。 フェリドの上から足を退ける。 「だがもしまたこの件を詮索したら…」 「大丈夫、僕だって命は惜しいからね」 起き上がり、先のなくなった肩を摩る。 「早く消えろ」 「はいはーい。 でもまた来るよクルル」 落ちた腕を拾い、性懲りもなく告げる。 「僕は君が大好きだからねぇ」 ひらひらとちぎられた腕を振る。 「ちっ」 隠すこともなく舌打ちをするクルル。 「あー痛い痛い」 フェリドは腕をくっつける。 そして繋がった腕でルカを抱き上げる。 「……おい」 「えー、この子は天使(セラフ)じゃないんだしさ」 クルルは舌打ちを1つして背を向けた。 「じゃあルカちゃんは貰ってくね〜♪」 「(…ルカっ……)」 ミカは声が出なかった。 フェリドの背でルカが見えなくなる。 それでも、視線を反らさなかった。 「……人間の状態は?」 「え?あ…はい。 呼吸が…止まろうとしています」 フードを被った吸血鬼は戸惑いながらも答える。 「……おい人間」 ミカに近付く。 「まだ生きたいか? 私ならお前に命をやれるぞ、永遠の命を」 だがしかし…。 「…………要らない……」 「そうか、命は要らないか」 クルルは自分の牙で唇を切る。 そこから血が流れる。 「だがお前に選択権はない」 ミカに跨り…。 「私の血を飲み、お前は人間をやめろ」 口付けた。 ミカの中にクルルの血が流れ込む。 ドクン 「うわああああああああああ!!!」 ((そして僕は人間であることをやめた)) == == == == == == == == == == 「はぁあ、クルルってばひどいなぁ。 でもルカちゃんは貰えたし、結果オーライ? 喉も渇いたし、ちょっとくらい貰ってもいいよねぇ…?」 ← | → |