犬猿のナカ
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「吸血鬼殲滅部隊、月鬼ノ組です。
吸血鬼退治に外へ出ます、開けてください」



それを聞いた兵たちが声を潜めて話している。

「月鬼ノ組……ってあのエリートの?」
「でもまだガキじゃ……」
「馬鹿、聞こえるぞ」



「ガキって言われてますよ優さん」

残念ながら丸聞こえである。

「お前のことだろ、チビだし」

お互いに"ガキ"のなすりつけ合いをする。

「いえいえ私はまだ成長中ですから。
なにせ姉の真昼は胸がぼいーんの美少女でしたからね」

姉があることなど知らなかった優は意外に思った。


「もう死にましたが」


「…あ、ごめ」
「あら、いまさらそこを遠慮しますか?」

優と違い、全然気にしていないシノア。

その時、城門が開かれる。

漸く話が通ったようだ。





「こんな醜く荒廃した世界で大切な人を亡くしていない人なんてもういないでしょう」





門の先には朽ち果てた世界があった。

「グレン中佐!!
あたしは納得いきません!!」

「んぁ、なんだぁ?」

聞こえてきた怒鳴り声にそちらを向く。


「何であたしが新人ばかりの部隊に配属されるんですか!?
13の時から殲滅部隊にいるエリートですよ!!」


そこには優たちと然して歳の変わらなさそうな少女。

その周りにはグレン、君月、与一がいる。

「なんだあれ?」
「さぁ、新メンバーじゃないですか?」

月鬼ノ組の最小部隊は5人で構成されるらしい。




「あ、優くん!!」


こちらに気が付いた与一が手を振ってくる。

「遅ぇよ、馬鹿優」
「だれが馬鹿優だ」

対立もそこそこに、例の少女について聞いてみる。

「新しい仲間だとさ」

「三宮三葉さんっていうらしいんだけど…」


「いえ百歩譲ってあたしが新人教育の分隊長になるっていうならわかります!!でもいっつも笑ってへらへらしてる柊シノアが分隊長だっていうじゃないですか!!そこを説明してください!」


…随分と怒鳴り散らしている。

めんどくせぇ…、と言いたげな顔をしていたグレン。

「ああ揃ったな、じゃ今からお前らに命令を」




「現れたな柊シノア!!」



グレンから標的をシノアに変える。

「はーい、私が現れましたよみっちゃん」

「おいシノア喧嘩すんなよ。
三葉はこれからお前の分隊に入れ…」

シノアは大丈夫だと言う。

「私は大人なので実力のない負け犬の遠吠えなどひらりふわりとかわしてみせます」

この発言に三葉がキレないわけがない。





「ぶっとばす!!!」

「あはは〜」




((いえ、一方的にキレてるだけです))
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「逆らうなよ。
これ以上上官の俺に面倒掛けたら独房に入れんぞ」
「ありゃりゃ」
「う……すみません……」
「お前あいつと仲悪ぃの?」
「いえいえ、むしろ仲はいいですよ。
月鬼ノ組にいる同年代の女の子って少ないですし」
「向こうはそうは思ってなさそうだけど」
「そんなのは知りません」


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