![]() == == == == == 数秒見つめ合った2人。 どちらも真剣な色をしている。 「っ!」 優は走り始めた。 出口へ、吸血鬼の世界から外の世界へ。 「ルカ、……優ちゃんが…初めて家族って……言って…」 ミカは涙が溢れた。 広がる血に落ちては見えなくなる。 全てが冷たくなっていく。 そんな中、大切な家族の熱い声が聞こえた気がした。 吸血鬼の世界から逃げる。 家畜だった自分から脱する。 ……大切な家族を残して。 「あ…ああああああああ!!!」 涙が溢れる。 地獄の日々が遠のくほど、家族が遠くなる。 そして、外の世界は……。 「な…なんだよ……これ…」 見渡せるのは暗くもない、火も煙も上がっていない世界。 電車が走り、屋上には人影が見える。 「大人はみんな…死んだんじゃなかったのかよ……。 世界は滅びたんじゃなかったのかよ……」 優は草の生い茂る地面に膝をついた。 「み…見ろよ、ミカ、ルカ」 全部、吸血鬼たちの嘘だった。 「俺たちは…一体何のために……こんな…」 「よし居たぞ、"予言"通りだ」 男の声に振り返れば3人の大人。 「日本を壊滅させた百夜実験場の被検体の1人が現れた」 黒い制服をきっちり着こなした軍人らしき人間。 「少年、吸血鬼退治のためにお前を利用させてもらうぞ」 優はまた涙が溢れた。 歯を食いしばって立ち上がった。 立ち止まってはいけない。 自分はあの世界から逃げ出したのだから。 「…ああ、望むところだ。 吸血鬼共を滅ぼせるなら!!」 ((世界の滅亡と吸血鬼、天使、悪魔と僕らの戦いが始まった)) == == == == == == == == == == 「世界は…人間は滅びてなんかなかった…。 ルカ、お前の親だって生きてるかもしれない。 なあ、俺1人じゃなくて一緒に……。 みんなで一緒に探して……」 ← | |