家畜のハンゲキ
== == == == ==

内臓が置いて行かれる感じ。

人間には持ちえない移動速度。
それを体験し、貧血に加えて気分を悪くする。


「ーーぁ…」


一瞬で目の前に来た茜。

違う、フェリドに抱えられた自分が近付いたんだ。
そう理解する頃には茜は血を流していた。

交わった視線はすぐに焦点を失う。



「っ…やぁ……」


大切な家族の死。
自分にとって初めての女友達の死。

涙が込み上げた。

だが、それが頬を伝う前に意識が闇に落ちた。










「………優ちゃん」



大切な家族が目の前で吸血される姿。
大切な家族たちの体がバラバラにされる様子。

2人の希望を打ち砕くには十分すぎた。

「銃を…貸して」

ミカの言葉に優は戸惑う。


「僕があいつを引き付ける。
優ちゃんだけでも逃げて」


視線の先にはフェリドがいる。

ルカの傷口から垂れた血を舐め取っている。

「ふ…ふざけんな馬鹿野郎!!
んなことできるわけ…!!」

だが無理やり銃を奪われてしまう。





「忘れないで、優ちゃん。

ーー僕らは家族だ」





優を振り返ったその目に、もう涙はなかった。

ただ覚悟を決めた強い瞳があるだけだった。

優は目を見開いた。
口を開く前に、ミカはフェリドの方へ走って行く。


「あはっミカエラ君。
君の血はルカちゃんの次に美味しかったなぁ」


ごちそうさま♪と楽し気に言う。

ミカが構えようとした銃を払い除ける。

そのまま首を掴むと、もう一方の腕で胸を貫いた。

「っ、」

血を吐くミカ。
それでも、銃口をフェリドへ向ける。

ドッ

だがその手は容易く切り落とされる。



「…ゆ……ちゃん…逃……」


パシッ

「!!」

腕ごと飛んだ銃を優が掴んだ。





「死ね」




((脳を貫く銀の弾丸))
== == == == == == == == == ==
「ルカー、一緒にお勉強しよー」
「うん、しよー!」

「一緒にお風呂入ろー」
「入ろー!頭洗ってー」

「そろそろ寝よー」
「私もー」


|



TOP