守るためのギセイ
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『ルカ!!!!』

優とミカが叫ぶ。

2人が下に見えた。
そして、床がいつもより遠かった。



「捕まえた♪」



捕まり、抱き上げられたらしい。
いつもより目線が高かった。

「っ、…ゃ…!」

フェリドの手から逃れようと暴れる。

「あはは、元気だねぇルカちゃん」
「ひゃっ…!」

首筋に顔を埋められびっくりする。

「ん〜、相変わらずいい匂い」

すんすんと嗅がれて寒気がした。

「ルカちゃんの血は皮膚越しでも欲情しちゃうなぁ〜」
「ぁ、…やめ…っ!」

ペロリと首筋を舐められる。






「それじゃあ……いただきま〜す♪」


鋭いものが皮膚を突き破る感覚。

次いで襲ってくる、"命を吸われる"感覚。






「んっ……」

痛みで歯を食いしばる。

「ルカっ…」

心配そうな顔で見上げる茜。


「…あか…ね……逃げ、っ…」


助けるために庇った。

ルカは茜を少し睨んだ。
早く逃げてほしくて。

吸血している間は流石に追えないはず。


「早っ…く…!」


漸く動き出す茜。

背を向けて走り出す。
取り残された涙は床に落ちる。



「ん〜?逃げちゃうの〜?」


フェリドはルカから牙を抜き、茜を見た。

「っだ…め…」

行かせるわけにはいかない。
無意味と分かっていても、フェリドの服を掴んだ。

「もっと吸ってほしいの?」

「だかっ、ら…茜には……」

血を吸われすぎて貧血のルカ。

もし再び吸わせるなら、それは死を意味するだろう。







「だ〜め♪

ルカちゃんの血は濃いから、僕がおかしくなっちゃうよ。
でもこれからも吸いたいから殺さないよ?」




((それを選べるのは強者だけ))
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「ん、」
「くっ…!」
「(あはぁ〜、ホント濃いくて美味しい)」
「(っ、まだ貧血気味なのに……)」
「(止めないと殺しちゃうのに、止めらんない…)」
「(何でっ?痛いのに……気持ち良くなんかないのに…)」
「(僕このままおかしくなっちゃいそぅ…)」


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