壊されたツナガリ
== == == == ==

「に…逃げろ!!みんな走れ!
逃げるんだ!!出口まで!!早く!!」

優の厳しい声に、遅れて反応する子供たち。

一斉に出口へ向かって駆け出す。




「ルカ!みんなを連れてお前も逃げろ!!
ミカ!俺たちでフェリドの足止めをするんだ!!」




家族が逃げ切る時間をかせぐために。

「う…」

ミカが返事をする前に再び風が吹く。

2人の間を抜けたフェリドはもう子供たちの背後。


「言っただろう?」


一番足の遅かった子。

逃げ遅れたその子の首が飛ぶ。
…いや、その衝撃で体も浮き上がる。





「僕は君たちの絶望した顔が見たいんだよ」





肩越しに見えたフェリドは残酷な表情だった。

悲鳴を上げながら逃げる子供たち。

それを容易く追い詰める。
赤子の手をひねるかのように殺めていく。


「やめろ………やめろお!!!」

ミカは大切な家族が殺されていく様子に涙を流す。

1人ずつ、確実に殺されていく。
すぐそこに出口があるのに、誰も辿り着けない。



ルカは立ち止まりそうになる。
でも茜に手を引っ張られ、震える足を一生懸命に動かした。

涙で視界が歪む。



「やめてくれ!!」

優とミカがフェリドの方に走る。

気付けば残っているのは茜とルカだけ。
そして、フェリドはすぐ後ろに迫っていた。

「あ…」

振り返った茜が声を漏らす。

そのまま行けば茜から殺される。

「茜!!」

優が悲鳴のような声で叫んだ。



「茜っ…!!」







「うん、君ならそうすると思ってたよ……ルカちゃん」




((視界に広がったのは銀色でした))
== == == == == == == == == ==
「ルカっ、逃げるのよ!」
「ぇ、でも優くんとミカが…」
「今は逃げて!」
「、…うんっ…」


|



TOP